企業コンテンツの価値は複数の切り口を持てること
──現在ではSNSや動画プラットフォームの広まりもあり、企業がコンテンツを発信することの価値が再確認されているように思います。貴社ではこの価値をどう捉えているのか、Lideaの運営を通じて感じることを教えてください。
ライオンが扱う製品は、食事、掃除、洗濯、衛生など生活の中で使うものです。こうした生活の営みに必要な知識は普遍的ですが、その中には学校で習うことではないことも多くあります。さらに病の流行や、核家族や独身世帯が増えるといった暮らし方の変化がある中、日用品メーカーとして普遍的なお役立ち情報を紹介していきたいと思っています。

その生活情報を基に、実行をお手伝いするのが我々の製品です。つまり、生活情報を伝えるLideaと、製品の詳細や背景を説明するブランド公式サイト、さらに当社製品そのものが連携し、お客様の生活を全面で支えるという形を理想としています。この土台にプラスして、生活スタイルに合わせたトレンド情報をSNSやキャンペーンなどで発信していきます。これにより、ライオン全体で生活者とのタッチポイントを増やしていきたいと考えています。
現在は様々な人が個人でも情報を発信できる時代ですが、どうしても自身のライフスタイル以外の視点は持ちにくいのではないでしょうか。たとえば、「時間が足りないことの解決法」一つを取っても、お子さんがいて忙しい人と、独身で家にほとんどいない人とでは求めているものが違います。我々は社内に様々なライフスタイルの人が集まっている分だけ多くの生活者視点を持つことができ、調査や実験を通じて裏付けのある知見も持っているからこそ、様々なお客様のお困りごとに解決提案ができる。それが企業の発信する意義なのかなと感じています。
定性データの深掘りで顧客とのつながりを強める
──今後「Lidea」およびコンテンツ配信で新たに取り組みたいことがあればお聞かせください。
Lideaは2024年に10周年を迎えます。今後は、今つながっているお客様と一緒に、次のフェーズに進んでいきたいですね。

次のフェーズでは、編集部とお客様がもう少し強くつながるような施策を考えています。具体的には、定性データを深掘りし、それを定量データに掛け合わせて、誰がどんなことを考えているのか、どんな情報をお渡しすれば喜んでいただけるのか、お役に立てるのかを明らかにするような施策や分析です。既に、どの記事が一番役に立ったのかアンケートを行ったり、素晴らしいコメントに対して「NICE!コメント賞」を毎月表彰したりしています。このようなコミュニケーションを増やしていくことにより、定性データの深掘りを進めて、強いつながりを作っていきたいですね。
一方、こうしたコミュニケーションでやり方を間違えると、誰にも響かずに「ライオンが何かやってるね」で終わってしまうリスクもあると考えています。そうならないためには、お客様一人ひとりを見ながら、我々編集部も自分たちの考えをしっかりと伝えていくことが大切だと考えています。たとえば、編集部自身が発信する記事を増やしたり、コンテンツの中に編集部の考えを込めたり、といったことにもチャレンジしていきたいです。
それらを通じて、Lideaのファン、ライオン製品のファン、ライオンのファンを増やし、お客様の日々の暮らしにさらに貢献できればと考えています。