企業がオウンドメディアを立ち上げても貢献度が見えにくく、社内での価値づけが曖昧になってしまうことが多い。そんな中、ファンケルが2021年3月に開設した情報サイト「FANCL CLIP」では、その運営がLTV向上に役立っていることをデータの活用によって示した。現在では同社の中でも重要な役割を占めているという。本記事では、メディア運営の背景やプロセス、データを活用した効果的な運営の方法について、通販営業本部コミュニケーション部部長の松本尚子氏に話をうかがった。
ファンケルが注力する「Web起点」のコミュニケーション
——まずは松本様のこれまでのご経歴と、現在取り組まれていらっしゃる業務の内容を教えてください。
2001年に入社して以来、ロイヤルカスタマー向けのサービス構築、販売促進の企画、CRMなどといった通販に関わる業務や、お客様に毎月お届けする情報誌の制作に携わってきました。
現在は、コミュニケーション部の責任者として、情報誌に加えて、ファンケルのオウンドメディアである「FANCL CLIP」や、ECサイト「FANCL ONLINE」、メルマガやLINE、Instagramといった様々な顧客コミュニケーションの媒体を管理しています。部としては、紙媒体・デジタル媒体の垣根なく、複数の媒体を掛け合わせて連動させることで、お客様に最適な情報を届けられるコミュニケーションを設計しています。
——FANCL CLIPの概要についてお聞かせください。
2021年3月に、それまでは購入するためだけの場所だったECサイトをコミュニケーションの場に進化させる目的として開設したのがFANCL CLIPです。
これまで、通販におけるコミュニケーションの主体は紙を使った情報誌でした。しかし、紙媒体では制作工程で4~5ヵ月の時間がかかってしまいます。そのため、「トレンドを掴み、お客様の今欲しい情報に応える」という対応ができていませんでした。そこで、通販部門全体で情報コミュニケーションを「紙起点」だけでなく「Web起点」も強めるという動きがあり、それが開設のきっかけでした。
FANCL CLIPは、商品以外のお楽しみ情報も発信することで、購買タイミングではなくてもつい訪れたくなるメディアをコンセプトとしています。お客様の生活の一部になるメディアを目指して、この3年間運用してきました。
あらゆるコミュニケーション媒体をつなぐ“ハブ”になる
——FANCL CLIPでは現在どのような役割を担っていますか?
当社では以前、アプリやメルマガなど複数の媒体がそれぞれに機能してしまい、お客様とのタッチポイントが分断化し、多面的なコミュニケーションができていないという課題がありました。その問題を解決する役割を担ってきたのがFANCL CLIPです。現在では、お客様による様々なコミュニケーション媒体への訪問を促すハブになっています。こうしてタッチポイントを増やすことで、よりファンケルに対して愛着を持っていただき、ロイヤルティを高めることにもつながっています。
FANCL CLIPの中でも特に人気なのは「イベント」カテゴリーのコンテンツです。このカテゴリーでは、商品モニターの募集や、インセンティブ品に関するデザインアンケートの実施など、お客様から反応をいただく場所になっています。こうした相互のやり取りができるコンテンツは、特にヘビーユーザーの方々から高い人気がありますね。
——オウンドメディアの運営で意識されていることは何かありますか。
ただコンテンツを作るだけでは見てもらえません。そのため、アプリやメルマガ、LINEの活用など、様々な媒体との連携を通して、記事への流入を促す仕組みを常に考えています。また、当社のECサイトでお客様がある商品を見ていたら、その商品に関連するFANCL CLIPの記事がECサイトに自動で出るようになっています。
他にも、当社では、お客様の悩みをスコア化した「お悩みデータ」を保有しています。これは、お客様の購買情報だけでなく、購買に至るまでの行動情報から潜在的な悩みを分析したもので、そのデータを活用して悩みを解決できる記事をポップアップで出す仕組みも運用し始めています。現在は、まだ試験的ですが、最終的には、記事のおすすめも含めてより正確なパーソナライズを目指しています。
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- この記事の著者
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岡田 果子(オカダ カコ)
IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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