自宅という仕事場をどうアップデートするか
――住に関してはいかがでしょうか。
自宅と仕事がより密接になってくるので、そこへの消費が加速するでしょう。たとえば、住宅を購入・建築するなら仕事部屋や書斎に対する優先順位が上がったとしても不思議ではありません。また、仕事部屋の家具や家電などにも注意を払うでしょう。
月に1回しか会社に行かないので、いっそ関西に住むといったことは、それほど珍しいことではなくなったかもしれません。基本は在宅で、出社は出張扱い、などという大企業もあります。一緒に(リモートで)仕事をしていた人が、実は関西在住だったと、しばらくしてから知る、なんてこともあります。関東圏とか関西圏といった大規模なエリアから大幅に人が減ることはなさそうですが、各圏内で居住する地域は変化するのかもしれません。
流行そのものではなく人を観察せよ
――ここまで自主的な職住一致をキーワードに、今年起きそうな変化を予測していただきました。この変化に対応するために、マーケターは日々どのようなことに気を付けるべきでしょうか。
流行しているもの・ことを見るだけでなく、それを使う人や空間を観察することが重要です。たとえば、完全栄養食が流行してきたら完全栄養食そのものを見るのではなく、それを利用する人はなぜその商品が欲しいのか、いつどのようなシチュエーションで利用しているのかを想像し、観察してみることです。
流行しているもの・ことが出てくると、そのもの・ことに集中してしまって、人間を見逃しがちです。流行しているものやことではなく、流行の背景や流行の周辺にいる人間を観察すると、本質が垣間見えたり、次のアクションに気づけたりすると思います。