行き場を失った竹を応援グッズに
平地:今回PSI賞を受賞した取り組みの内容について教えてください。
初田:今回は竹クラーベという応援グッズをトクヤマ様のパートナーアクティベーションで制作して観客に配布しました。
山口県は全国4位の竹林面積を有しており、その面積拡大が地域課題となっていました。トクヤマ様とのパートナーアクティベーションを模索する中で「地域課題に貢献できる取り組みを」というニーズがあったため、この竹林面積の問題を軸に企画を提案し、実施に至りました。
平地:私も全国各地のクラブの方とお話しする中で「竹林が地域課題になっている」と聞いたことがあったのですが、山口県も同様の課題を抱えているとは知らなかったです。
そして、今回の取り組みは伐採して行き場を失った竹を応援グッズとして再利用する点が素晴らしいと思いました。伐採した竹の活用法としても斬新で、地域課題をポジティブに解決するアイデアになっていたため、今回特別賞として作ったPSI賞の受賞となりました。
化学メーカーがなぜパートナーアクティベーション?
平地:しかしながら、トクヤマ様は化学メーカーでBtoB向けの事業を行っていますが、なぜ今回のパートナーアクティベーションの実施に至ったのでしょうか。
友村:今回の取り組みは「とくちゃれ」という社内制度の一環で行っています。「とくちゃれ」では、通常の業務とは別にトクヤマの価値向上につながる活動を、部門の垣根を越えて集まったメンバーと行っています。
私は「とくちゃれ」内のレノファ山口を応援するプロジェクト「レノファ山口ぶちカツ!」に参加しています。しかし、パートナーになってユニフォームにロゴを入れるなどの取り組みだけでは、企業価値を最大限高めることができないと思っていました。
色々と取り組みを考える中で、「私の担当業務であるトクヤマの工場の自家発電とつなげられないだろうか」と思うようになりました。トクヤマではカーボンニュートラルによる発電を進めており、その一環で竹を活用した発電にも試験的に取り組んでいました。
そこで、竹で応援グッズを作成し、その竹をトクヤマの発電の原料として回収することで、サステナブルな取り組みとなり、トクヤマが環境に配慮した自家発電にも力を入れていることが発信できるのではと思い、レノファ山口に相談して実施に至りました。
平地:「ぶちカツ!」のメンバーは何人くらいいるのでしょうか。
友村:約10名です。周南市やレノファ山口の方も参加しており、レノファ山口やサッカーが好きなメンバーが集まっています。
平地:業務時間の中でレノファ山口と関わりながら本業とは異なる仕事ができることは、高いモチベーションにつながると思いますし、クラブや行政の方も関わっているのが素晴らしいですね。
スポーツクラブは人や企業をつなぐハブになれる役割を持っています。地域課題の解決やSDGsの推進は企業だけでも、行政だけでも難しいので、そこにスポーツクラブが入ることでファンやパートナー企業がつながり、取り組みがより良いものになっていくんだと思いますし、今回の取り組みはそれが反映された好事例ですね。