広告プラットフォームの分散
最後に、広告運用やデジタルマーケティングの自走化に関するコンサルティングを行っているアタラの杉原剛氏による「分散が進む広告プラットフォーム」を紹介する。
杉原氏はまず、現在の広告市場について、広告プラットフォームの分散期にあり、主要プラットフォームがどこかわからない状態にあると説明する。一般的にはGoogleやMeta(Facebook/Instagram)を思い浮かべるが、シェアを伸ばしているTikTokを始め、Twitterなど各ソーシャル企業の広告プラットフォームも無視できない。
さらに注目されているのが、小売業者が保有する顧客データを活用して広告を配信するリテールメディアであり、アメリカでは既に存在感を増している。たとえば、大手小売のウォルマートやターゲット、クローガーなどが広告事業に乗り出している。その強みは「ユーザーが商品を購入したトランザクションデータ」を持っていることだ。日本でも一部企業がデジタル広告と融合したID-POS連動デジタル広告施策を行っている他、膨大なユーザーIDを持っている通信業界や金融業界も広告事業に着手し始めている。
広告主からすればどこに限られた予算を投下すればいいのか、その判断が年々難しくなっている。そのため広告代理店の役割が重要になるが、広告代理店が必ずしも複雑化するプラットフォームの運用ノウハウやロジックをすべて理解しているわけではない。また、広告主のニーズに対応するにはテクノロジーとマーケティングの両方に精通したエンジニアや分析アナリストの存在も重要になる。ビジネスの全体最適を望む広告主にデータの活用を含めた設計ができるかどうかが分かれ目となるだろう、と杉原氏は結んでいる。
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