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IT業界のマーケターが知っておきたい技術の話――「技術力」を「顧客価値」に転換するために

説得力を増強させたいならば技術の理解が必須

 最後のテーマとして新村氏は、マーケターがなぜ技術を理解するべきなのか、何を理解しておく必要があるのか説明した。

 新村氏は、マーケターが技術に無関心であることで起きがちな問題として「オレオレ解釈」と「技術の軽視」の2つを挙げる。オレオレ解釈は、技術を都合よく解釈して、本来の意味から変えてしまう、あるいはある技術を万能だと解釈してしまうことだ。また技術に優劣をつけ、自社の採用している技術以外を見下す「技術の軽視」にも気を付けたい。メッセージの説得力を欠き、顧客の信頼を失う原因になるからだ。

 「マーケターはエンジニアほど広く深い知識は必要ないが、技術の定義を正しく把握する必要がある」と新村氏。その技術は何のためのもので、何ができるのか。定義を理解するには、技術の生い立ちを知るのが良いという。製品が何らかのニーズを満たすために生まれるように、技術も何かのニーズを満たすために誕生した背景がある。それを理解すれば、その技術を使って何を実現するか説明でき、より説得力を増すことが可能となる。

 もう1つ押さえておくべきことは、「技術を使うことによって顧客が得られるメリット・デメリット」だ。さらにその技術の競合技術、どんな技術と比較され何が違うのかを正しく押さえておくことで、他社と自社の違いを説明する際の説得力も増すことになる。

 また、マーケターがどんな技術について理解しておくべきかについて新村氏は「自社の製品やサービスのコアとなる技術」「Webサイトやカタログに名前を掲載している技術」「顧客に影響を与える技術」の3つを挙げた。特に、顧客に影響を与える技術や話題になっている周辺用語は理解しておくのがベターだ。今なら、DXやAI、クラウドネイティブ、DevOpsといったワードが重要になる。

 さらに新村氏は「内部向けに説得力を増すための栄養素」として、知っておくと良い技術を2つ挙げた。1つ目はデータベースおよびSQLの知識だ。マーケター自身がデータベースを閲覧し、インサイトを導き出せるか否かは説得力に大きく関わる。2つ目はWeb技術。トラフィックやCookieなど、Webが動作している仕組みを知っておくことで、広告会社やエージェントとの会話が円滑に進み信頼も得やすい。

 最後に新村氏は、まとめとして3つの重要なポイントを振り返った。

 1つ目に、顧客が持つ課題とITが解決する課題にはギャップがあり、それを埋めるためにシナリオとして描く必要があるということ。マーケターは、最終的に顧客のビジネスの変化が起こるような道筋を描き、それに沿ったメッセージを作る必要があるわけだ。

 2つ目は、エンジニアとのコミュニケーション。エンジニアもマーケターと同様に顧客ニーズと製品価値を結びつけて設計を行っているので、コミュニケーションを密にして双方の理解を深めることが重要だ。

 3つ目に、製品にビジネスの成長要因を組み込むために、顧客のフィードバックなどの情報を積極的にエンジニアに提供すること。そうすることで、エンジニアの技術力が製品力に結びつき、PLGが実現できる。

 新村氏は「何よりマーケターも『製品に対する関心と理解』を持つことが大事です」と力強く語り、セミナーを締めくくった。

『現場の事例で学ぶ!IT企業のためのBtoBマーケティング技術・製品・サービスの魅力を確実に伝える方法』新村剛史著/翔泳社
現場の事例で学ぶ! IT企業のためのBtoBマーケティング技術・製品・サービスの魅力を確実に伝える方法
新村剛史 著/翔泳社

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/07 09:30 https://markezine.jp/article/detail/41732

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