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【調査】シェアモビリティが生活者にもたらす変化とビジネスチャンスとは?

性年代別・シェアモビリティの普及率

 シェアモビリティの普及について、さらに詳細にデータを分析します。図表4に、カーシェアとシェアサイクルの性年代別、地域別の利用率を自動車、自転車の所有台数とともに示しました。シェアモビリティの利用率は同じ2022年9月から2023年2月のスマートフォンアプリの利用ログから算出し、自動車と自転車の所有はそれぞれ自動車検査登録情報協会と自転車産業振興協会が公表するデータを掲載しました。

図表4:シェアモビリティの利用率(%)と自動車、自転車の所有
図表4:シェアモビリティの利用率(%)と自動車、自転車の所有

 まずは全国平均に着目し、性年代別の傾向を解釈します。若年層ほど利用率が高いのはカーシェアとシェアサイクルの共通した傾向です。男性のほうが利用率が高いのも共通した傾向ですが、カーシェアではより顕著です。20代で見ると、男性のカーシェア利用率は1.4%なのに対して女性は0.3%と、大きな差があります。

都市の交通文化とシェアモビリティ

 次に、三大都市圏の中心である東京、大阪、愛知の地域差に着目します。シェアモビリティの利用率と自動車、自転車の所有台数の関係からは、三者三様のシェアモビリティの普及が見えてきました。

 まずカーシェアに着目すると、利用率は自動車の所有との関係がはっきりしていることがわかります。自動車の所有台数が全国平均の半分程度である東京と大阪は、カーシェアの利用率が高い傾向です。一方で愛知は、東京、大阪とは大きく異なり、車の所有台数が多くカーシェアはあまり普及していません。シェアモビリティのビジネスの特性上、都市部で利用率が高いことは当然の結果ですが、その都市の生活者がすでに所有する乗り物も、シェアモビリティの普及の重要な要素だということがわかります。

 次にシェアサイクルの利用率に着目します。東京はカーシェアだけではなく、シェアサイクルの利用率も47都道府県で最も高い地域でした。特に20~30代の男性の利用率が高く、20代男性では4%近くにもなっています。シェアサイクルに乗ったサラリーマンが都心のオフィス街を走る風景は、コロナ以降の新しい風景の1つとして定着してきたのではないでしょうか。

 大阪のシェアモビリティの利用率は東京ほどは高くなく、全国平均並みでした。伝統的に自転車の利用が進んだ都市として知られる大阪ですが、すでに多くの人が自分の自転車を所有しているため、むしろシェアへのニーズが東京ほど高くないようです。坂が少なく、電動ではない安価な自転車で移動しやすいことも所有が選ばれている理由かもしれません。愛知はカーシェアだけではなく、シェアサイクルも全国平均より低い利用率でした。東京や大阪とは大きく異なる愛知の交通文化の特徴がよくわかるデータです。

 車と自転車、どちらのシェアモビリティでも先行する東京。車はシェアが普及するものの、自転車は所有が中心である大阪。自家用車の多さからシェアモビリティの普及が進みづらい愛知。三大都市圏だけに着目しても、シェアモビリティの普及状況は三者三様です。それぞれの都市で生活者が抱えていた移動の不自由さを解決する形で普及が進んでいることがうかがえるでしょう。

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自由な移動がもたらすビジネスチャンス

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この記事の著者

山津 貴之(ヤマツ タカユキ)

株式会社インテージ 事業開発本部 デジタル・ビジネス・ディペロップメント部 アナリスト

2014年に大学卒業後インテージへ入社。
小売店パネルの運用部署にてパネルデータの品質管理を担当。機械学習を用いたデータクリーニングロジックを開発。
2017年からはスマートテレビ視聴ログを用いた商品”Media Gau...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2023/04/13 09:30 https://markezine.jp/article/detail/41877

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