Microsoftの強みは圧倒的かつ精緻なファーストパーティデータ
Microsoftは、OSのWindowsや検索エンジンのBing、WebブラウザのEdge、業務ソフトのMicrosoft 365など、あらゆる製品・サービスを展開しており、一つひとつに一定規模のユーザーが存在する。たとえば、Edgeのダウンロード数は全世界で8億(2021年末時点)だという。
有園氏は「このユーザー規模の大きさ、展開している製品・サービスの幅広さが強み」だと語る。
「ブラウザでのウェブ閲覧や検索などの匿名の行動データを保有しています。そして、集積してきたデータは広告配信の最適化に活用しています」(有園氏)
大量に保有しているデータは、広告のターゲティングにも活用することができる。検索広告に加えて、Microsoft 広告のメニューの一つであるMicrosoftオーディエンス広告でも、同社が保有するプラットフォーム上で精度の高いターゲティング設定が可能になるという。
生成AIやロイヤルティプログラムなど、あらゆる形で広告を提供
また、昨今話題となっているChatGPTをベースとした生成AIと連携した広告の提供も視野に入っている。検索エンジンのBingでは、ChatGPTの進化版であるGPT-4が組み込まれたBing AI チャットを提供しており、AIに質問を投げかけると回答が返ってくる。Bing AI Chatが、「検索エンジンの新たなスタンダードになり得る」と有園氏は語る。
「たとえば、Bing AI チャットに渋谷のおすすめのホテルについて聞くと、AIが各サイトの情報を収集し、回答を生成します。現在、回答の中に広告を表示するテストを行なっています」(有園氏)
その他にも、Bing での検索、Microsoftでのショッピングやゲームで自動的にポイントが貯まるMicrosoft Rewardsプログラムも好評のようだ。2022年にスタートしたばかりだが、すでに多くのユーザーに利用されているという。
購入意欲が高く、好奇心が強いユーザーが集まるPinterest
Pinterestは、「ひらめきを行動につなげるビジュアル探索プラットフォーム」を標榜する、画像や動画を主軸としたSNSだ。日々、様々なユーザーが、ファッション、レシピ、家のリノベーション、旅行先に関するアイデアのインスピレーションを得られる場として機能することを目的としている。
現在、Pinterestは全世界で月間4億人、日本では870万人が利用し(ニールセン調査による)、着実に成長を続けている。
Pinterestユーザーは興味関心の幅が広く、日本ではユーザー一人あたり平均10種類のインタレストカテゴリを利用している。他プラットフォームに比べ、ファッション、料理、DIY、Tech、環境問題などあらゆるカテゴリを横断して利用しているユーザーが割合的に多いという。Pinterestユーザーの特徴について、成田氏はさらに掘り下げた考察を語った。
「Pinterestには、興味が幅広いだけでなく、何か買いたいもの、試してみたいものを探している意欲的なユーザーが多い傾向にあります。ショッピング好きな方が多く、ユーザーの83%が買い物すること自体が好きと回答しています。実際、他SNSのユーザーと比べ毎月の支出額が2倍で、購入料が85%高いという調査データが出ています。また、価格の安さよりも、品質や自分らしさを重視してブランドや商品を選ぶ方、新しい情報に敏感で、新製品への関心が高い方が多いという傾向も見えてきています」(成田氏)