ロングセラーブランド「雪肌精」
──今回はコーセーのスキンケアブランド「雪肌精」での広告事例について伺います。まず自己紹介をお願いできますか。
吉岡:店舗営業を経て、2011年から商品企画・販売企画両方を手掛けてきました。2021年1月に「雪肌精」の販売企画課長に就任しました。特にコミュニケーション・セールスプロモーションに力を入れています。
竹内:宣伝部でクリエイティブディレクターとチームのマネジメントを行っています。コーセーの宣伝部はインハウスで広告制作を行っていますので、私の使命としては、インハウスだからこそかなう中長期的なブランディングを視野に入れたクリエイティブの開発を行っています。
砥川:GOでクリエイティブディレクターをしています。ナショナルクライアントのブランディングや広告プロモーション、スタートアップの事業開発支援などを行っています。今回は「雪肌精」のブランディングをご支援させていただきました。
──「雪肌精」はどのようなブランドなのか、ご紹介いただけますか。
吉岡:「雪肌精」は、1985年に発売した弊社を代表するロングセラーブランドです。和漢植物を使った処方で、雪のような透明感をかなえてくれる実感からお客さまに支持いただいています。日本での認知率は、80%近くを獲得しています。
2020年9月には、「雪肌精 クリアウェルネス」という新シリーズを発売しました。サステナブルな容器やパッケージを取り入れるほか、和漢植物の処方にとどまらない、地球が育んだ自然の力を探求し商品に配合した、肌にも自然にも優しいシリーズです。
──ユーザーのボリュームゾーンはどのあたりでしょうか。
吉岡:約90%のユーザーが女性です。年齢層ですと40代が多く、50代・30代と続く形となっています。
「雪肌精」を1つの大きな傘としてコミュニケーション
──「雪肌精」のプロモーション戦略について教えてください。
吉岡:弊社では「3G」というキーワードを掲げ、グローバル・ジェンダー・ジェネレーションに対して、どれだけボーダーレスに取り組んでいけるかを考えています。それが「雪肌精」の戦略にも反映されています。グローバルという点では、現在15の国と地域で展開しています。
──今回のプロモーションに取り組んだ背景や課題感を教えてください。
吉岡:一番大きい課題は、化粧水の薬用 雪肌精がずっと1本足で支えてきており、そこから脱却できていなかった点です。追随するシリーズがあるものの、同じブランドに見えないことなどが課題でした。
もう少しで40周年を迎える「雪肌精」が、次の10年、20年に向けてどう飛躍するか。私たちはコミュニケーションの整理に加え、より多くの方に手に取っていただくための戦略も含めて、模索していました。
竹内:また弊社は、以前よりジェンダーにとらわれないものづくりをしているという事実をお客さまにもお伝えできないかと模索していました。
コーセーには現在、男性用・女性用と限定した化粧品は存在しません。理由は、男女の肌質の差よりも、その人固有の肌質、生活環境やテクスチャーなどの嗜好の方が優先されるからです。このような取り組みも含めてメッセージをお届けできたらと考えていました。
──こうした中、GOさんはどのような提案をしたのでしょうか。
砥川:雪肌精ブランドの各商品でブランディングを行うのではなく、「雪肌精」を1つの大きな傘として、コミュニケーションしていくことをご提案しました。
生活者に広く浸透している薬用 雪肌精からブランド資産を丁寧に抽出しながら、1つの大きなブランドとしてのたたずまいを作っていきましょうと。そこにコーセーさんが温めていたジェンダーレスやサステナビリティといった視点を織り交ぜていった形です。
テレビCMでは強いメッセージを打ち出しつつ、店頭などのプロモーションでは、そのメッセージで興味を持った方々が商品を試してみたくなる施策を打つことで売り上げにもつながるように設計しました。