顧客接点とニーズの多様化に対応する「Sanrio+」
サンリオは、コンシューマ(商品開発)・リテールとEC・ライセンス・テーマパーク・デジタルコンテンツなど幅広く事業を手掛けている。また1960年の創業以来、450を超える様々なキャラクターを世に送り出してきた。創業時と比べると、現在の顧客接点は店舗だけでなくテーマパーク・Web/EC・アプリ・SNSと拡大し続け、顧客のニーズも多様化している。
「お客様を理解するのが難しくなってきたという懸念があった」と語るのは、同社でCRM施策を推進してきた田口歩氏。そこで「サンリオのファンとキャラクターをつなぐ、一貫した体験づくり」のために、2020年7月にローンチしたのが「Sanrio+」だ。
Sanrio+は、サンリオショップ・オンラインショップ・サンリオピューロランド/ハーモニーランドなどで利用できる全社共通のポイントサービスである。同社のスローガンである“みんななかよく”のもと、顧客が様々な体験で笑顔になることがビジネスを成長させていくという思いから、ポイントを「スマイル」として貯まる仕組みにした。あえて「ポイント」という名称で呼ばないことで、同社の世界観を表現している。
顧客の思いや行動が、自然にデータに反映される工夫とは?
Sanrio+の登録会員は2022年10月時点で130万人を超えており、ボリュームゾーンは15~29歳の女性。メルマガ「サンリオ通信」の購読者は60万人を超えているという。
これら会員を理解するため、裏側の仕組みとして統合データ分析基盤も用意した。「どこでどれだけのスマイルを貯めているのか」「どう使っているのか」など、会員IDに紐づくあらゆるデータを格納することで、一人ひとりの属性や行動データを分析できる。
扱うデータの種類は、会員登録情報・ポイント利用データ・購買データ・クーポン利用データ・アプリ/Webログなどだ。これらを活用することで、顧客により良い体験を提供することが可能になると田口氏は説明した。
続いて田口氏は、Sanrio+で提供しているサービスの一例を紹介。まず挙げられたのは、「推しキャラ」がデザインされた会員証のサービスだ。会員は全21キャラクターから好きなキャラクターを選択できる。さらに年に6~7回ほどシーズンに合わせて絵柄が変わることで、より魅力的な体験を提供できるよう工夫した。
会員が自ら会員証のキャラクターを選択することで、「アンケートで(直接好きなキャラクターを)聞くのではなく、自然に顧客の思いがデータに反映されるよう工夫しました」と田口氏は語った。また購買データと組み合わせることで、会員証に選んだキャラクターと実際に購買するキャラクターの相関関係も明らかになったという。
この他、アプリでは公式Twitter・オンラインショップチャンネル・特設チャネルが閲覧できるマルチニュースチャンネルを提供。ニュースとは別に、スタンプラリーなどのキャンペーンをお知らせとしてプッシュ配信の形で流している。こちらでも、お知らせ一覧から遷移した「お知らせ詳細」ページの日別ユニークユーザー数を集計。関心度を可視化し、内容を最適化しているという。