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Z世代への強いリーチ力に注目!JCB・楽天の事例からマーケティング視点で紐解く、eスポーツの可能性

 ジェーシービー、楽天グループは、Z世代へアプローチする取り組みとしてeスポーツ事業にそれぞれ参入。ジェーシービーはプロチーム「ZETA DIVISION」への協賛やイベント開催で大きな反響があり、楽天グループは主催イベントを通じて売り上げなどの成果が出ているという。本記事では、両社の担当者およびKDDIやメルカリでデジタルマーケティングを推進した経験を持つプロeスポーツチーム「REJECT」の塚本陽一氏から、eスポーツ×マーケティングの取り組みや、その可能性について伺った。

Z世代とのコミュニケーションを模索

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回、Z世代へのアプローチとしてeスポーツ×マーケティングの可能性について伺います。まずジェーシービーと楽天グループそれぞれの、背景や課題感についてご教示いただけますか。

吉野:2022年の4月から改正民法の施行によって成人年齢が引き下げられました。これにより18歳から親権者の同意不要でクレジットカードの入会が可能になったため、ジェーシービーにとって新しい顧客層が生じました。

 今後のLTVを考えると競合各社もアプローチすることは予想できましたし、当社の調査で「30代の半数以上が20代に作ったカードをメインで使い続けている」というデータもあります。これらの状況を鑑み、Z世代に積極的なアプローチをして彼らの多様な価値観のコミュニティとつながりを持つことが重要だと考えました。

ジェーシービー イノベーション統括部 次長(企画グループ担当) 吉野由希子氏
ジェーシービー イノベーション統括部 次長(企画グループ担当) 吉野由希子氏

吉野:また決済ブランドの競争が激化する中で、いかに「JCBブランド」を選択していただくか。そのためにも、まず興味を持ってもらうこと、ブランドの認知や一般の広告だけでは伝わらない魅力まで知ってもらうことが必要でした。Z世代の方々はSNSを使いこなすデジタルネイティブ世代となるので、彼らに向けてどのようにコミュニケーションを取るべきかが課題でした。

川畠:楽天グループでも、Z世代に向けたコミュニケーション方法を模索していました。中でも、特に男性の若年層に対して効果的にリーチできる施策を通じて、楽天が提供するサービスとの新たなタッチポイントを作りたいと考えていました。

楽天グループ コマース&マーケティングカンパニー スポーツストリーミング&ライブコマース事業部 パートナーアライアンス課 マネージャー 川畠佑幾氏
楽天グループ コマース&マーケティングカンパニー スポーツストリーミング&ライブコマース事業部 パートナーアライアンス課 マネージャー 川畠佑幾氏

Z世代のエンゲージメントが強いeスポーツ事業

MZ:ジェーシービーはどのような取り組みをされたのでしょうか?

吉野:2022年11月にプロeスポーツチーム「ZETA DIVISION」とのスポンサー契約を締結いたしました。経済産業省の調査によれば日本のZ世代は、米国や韓国などゲーム消費額が大きい主要国と比べエンゲージメントが高く、月当たりのアクセス回数が多く利用時間が長い傾向にあります。

経済産業省「令和3年度コンテンツ海外展開促進事業(Z世代におけるeスポーツ及びゲーム空間における広告価値の検証事業)」に関する報告書より(クリックして拡大)

吉野:さらに10代および20代男性のYouTube視聴における好きなジャンルは、「ゲーム実況」が1位となっているなど、eスポーツはZ世代とのエンゲージメントが強くリーチしやすいジャンルであるといえます。プレーするゲームそのものにファンがいる点はもちろん、プレーヤーや配信者の方々といったインフルエンサーが作る強力なファンコミュニティがeスポーツの大きな強みだと考えています。

経済産業省「令和3年度コンテンツ海外展開促進事業(Z世代におけるeスポーツ及びゲーム空間における広告価値の検証事業)」に関する報告書より(クリックして拡大)

吉野:そんな中でZETA DIVISIONへの協賛のお話をいただきました。ゲーミングライフスタイルブランドとして日本から世界に挑戦を続けるZETA DIVISIONは、日本発の国際カードブランドとして1981年から国際展開を進めているJCBと親和性が高く、協賛を決めました。

MZ:楽天グループのお取り組みについても教えてください。

川畠:2022年7月にeスポーツのイベント「Rakuten esports cup」を実施したことを皮切りに、eスポーツ事業に参入いたしました。当社はeスポーツ関連のプロダクトを所持している企業ではないため、楽天グループのサービスを通じてeスポーツ業界のビジネスモデルの構築をサポートし、盛り上げをより加速させる一助となることをミッションに取り組んでいます。

2023年5月には「Rakuten esports cup」第3回が開催された(楽天グループのプレスリリースより)
2023年5月には「Rakuten esports cup」第3回が開催された(楽天グループのプレスリリースより)

川畠:楽天グループでは、日本で「esports元年」といわれる2018年頃よりeスポーツ関連事業について検討を重ねてきました。プロチームのスポンサーをはじめ様々な関わり方を検討していたのですが、当社として直接的なシナジーを生みづらい領域だったこともあり、eスポーツ業界と当社の両方にとってより良い関わり方を探っていました。

 そのような中で、eスポーツ事業に興味を持った企業がビジネスに参入しても、長く続かずに撤退している光景を目の当たりにすることが何度かありました。こうした背景から、eスポーツ業界の発展のためには、ビジネスモデルの構築から再編する必要があると感じ、楽天グループが持つエコシステムを活用したイベント実施の検討を開始しました。

 当社の場合はスポンサー企業=「楽天市場」に出店されている店舗様などが挙げられ、まずは店舗様に還元される座組みでイベントを実施しております。初回を2022年7月に実施したのですが、多くの店舗様よりイベント参加の効果を感じていただいております。

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/02 08:00 https://markezine.jp/article/detail/42136

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