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Z世代への強いリーチ力に注目!JCB・楽天の事例からマーケティング視点で紐解く、eスポーツの可能性

eスポーツの熱狂を支える、強力なインフルエンサーとは?

MZ:2023年1月にプロeスポーツチーム「REJECT」にジョインされた塚本様にお伺いします。eスポーツの概要について簡単にご説明いただけますか。

塚本:「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略で、広義にはパソコン・モバイル・タブレット・コンシューマー機といった電子機器を通じて行う、娯楽・競技・スポーツ全般を指します。

 個人的には、eスポーツの定義はこの先も進化していくと思っています。直近で言うとWeb3やメタバース、将来的にはXR系のソリューションや技術の進歩にともない、eスポーツの定義も進化していくのではないでしょうか。

REJECT 執行役員 事業統括本部長 塚本陽一氏
REJECT 執行役員 事業統括本部長 塚本陽一氏

MZ:eスポーツのファン層は、どういった特徴がありますか?

塚本:私は、バスケットボール協会および男子プロバスケットボールリーグであるB.LEAGUE(Bリーグ)のマーケティングの責任者も経験しましたが、リアルスポーツであろうとeスポーツであろうと、ファンの熱量やコミュニティ(ファンベース)形成が重要であるという点は共通していると感じます。一方で、リアルスポーツと比べてeスポーツは業界全体でファンの年齢層が低く、20代を中心とした若年層に強く刺さっている特徴がありますね。

 また私がeスポーツ業界に入って驚いたのが、エンゲージメントや熱量の強さです。大会やイベントは、中には10時間以上も配信・開催しているものもありますが、ファンの方々は高い熱量で長時間コンテンツに接触し続け、観戦・応援されていらっしゃいます。

 ファンの可処分時間をどれだけ割いてもらえるかという意味では、ゲーム時間の短縮化などに動き始めているリアルスポーツとは異なる特徴であり、eスポーツファンのエンゲージメントを端的に表現している例だと思っています。

MZ:ファンを惹きつけるポイントは何なのでしょうか?

塚本:各チームに所属している選手(アスリート)の存在はもちろんですが、ゲームの実況や解説動画を配信する「ストリーマー(配信者)」という存在が異彩を放っていると感じます。多くのeスポーツチームでは選手だけでなく、ストリーマーも所属メンバーとして抱えています。これもeスポーツの特徴の一つといえるかもしれません。

 ストリーマーは、ゲームのおもしろさや魅力を視聴者に知ってもらい、より深く理解してもらうような配信を長時間・毎日行っています。このようなコンテンツが、新しいファンの獲得やファンとのエンゲージメント構築に貢献していると感じています。

 プロである以上、チームや選手を強化し、そのパフォーマンスで人気チームになっていくことは当然大切です。ただそれだけでなく、インフルエンサーとして影響力のあるストリーマーと共同でチームの人気やブランド力を上げ、ファンコミュニティを盛り上げていく動きはeスポーツならではのファンベース構築といえます。

プロチーム「ZETA DIVISION」に協賛し、大反響

MZ:ジェーシービーが実施した具体的な施策とその成果について教えてください。

吉野:まずZETA DIVISIONへの協賛を発表するにあたり、事前にZETA DIVISION公式Twitter上で3本のティザー動画を発信しました。動画は、ジェーシービーのコーポレートカラーである青・赤・緑にまつわる商品をメンバーが買うというものです。2本目を投稿した段階で早くも推測の声が上がるなど、熱量や反響をリアルタイムに見ることができましたね。

 動画を投稿したツイートも総インプレッション数630万回、総再生回数も約107万回と非常に好評でした。SNSの反応を見ると、協賛に対する期待感に加えて「ジェーシービーが協賛するなんて」といった意外性の声が多く、当社が想定していたパーセプションとの乖離に気づきました。我々としてはお客様に常に親近感を持って寄り添うブランドでありたいと考えておりますが、若年層の方からはやや距離感があるのだと感じることができました。

ティザー動画のツイート(ZETA DIVISION公式Twitterより、クリックして拡大)

吉野:また、JCBのロゴをZETA DIVISIONのユニフォーム右肩に配置いただいています。塚本さんがおっしゃったように、eスポーツではかなり長い時間配信を行うため、ずっとロゴが画面に映ることになります。オーガニックにブランドロゴを露出できるのは、テレビCMをあまり見ない層に対し、認知を獲得できる有効なアプローチだと感じます。

 他にも、2023年3月に開催されたオフラインイベントでチケットの先行抽選販売と連動した会員獲得施策を行いました。そちらも成果が出ており、eスポーツの持つ影響力を感じています。

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イベントの中で「楽天スーパーSALE」の売り上げに匹敵する商品も!

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/02 08:00 https://markezine.jp/article/detail/42136

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