11の欲望×心が動いた消費調査で、インサイトはより明確になる
最後に、「11の欲望」を用いた分析内容もご紹介します。
「心が動いた消費調査」内の膨大なフリーアンサーを11の欲望ごとに分析してみると、やはりそれぞれの欲望ごとに異なる消費傾向が見られました。「11の欲望」のうち、一例として「あえて愛を確認したい欲望」の人が、どんな消費をどのような理由で行ったか、見ていただきたいと思います。

「あえて愛を確認したい欲望」の人が挙げた主要な意見を10ほど抽出したものがこちらです。「心が動いた消費」として購入した商品・サービスで言うと、この欲望を持っている人は、体験やサービス系の消費を多くしている特徴がありました。

さらに、「心が動いた消費」の期待点や得られた気持ちを詳しく読んでいくと、主に3つのキーワードが見えてきました。1つは「愛されて幸福な自分」像。2つ目は「大切な人を喜ばせたい」思い、そしてもう1つは「誰かを応援して、それを自分の力に変えたい」欲求の、3つのキーワードです。
「あえて愛を確認したい欲望」を持つ人たちに対しては、これらのキーワードが「心が動く消費」になるかどうかの重要なカギになることがわかります。
顧客の「欲望」を起点とした、マーケティングやブランディングを可能に
このように、「11の欲望」を用いて、その欲望を持つ人がどのような深層心理を持っているのかを分析することで、「心を動かす」ポイントが明らかになり、インサイト発見やマーケティング戦略立案に役立てることができます。

自社のブランドのユーザーには、どのような欲望を持つ人が多いのか。その欲望を持つ人は、何が心に響く特徴があるのか。これらを分析した上で、カテゴリー全体、競合ブランド、世の中全体のそれぞれの「欲望」の分布と比較すると、自社が大事にすべきターゲットや、そのお客様への有効なコミュニケーションを明確に設定できるようになります。お客様の欲望を起点とした自社ならではのブランディング、一貫したマーケティング戦略や活動が可能になるわけです。
今回ご紹介した「11の欲望」を簡易的に判定できる調査質問もありますので、自社のデータベースや定期調査に組み込めば、「欲望」という視点を加えた新たな見方で、顧客分析をすることができます。
本連載では今後、欲望(Desire)行動モデル、11の欲望を起点とした様々な分析や、世の中の流行やヒットコンテンツなど、時世やトレンドについての欲望視点からの考察などをお伝えしていく予定です。また現在、電通ではCXやデジタルマーケティングにおいて欲望行動モデル、11の欲望をベースにした各種ソリューションを開発中です。そういった最新情報についても随時ご紹介していけたらと思っております。
【調査概要】
・タイトル:電通「心が動く消費調査」
・調査目的:変化し続ける社会環境により、可視化されにくくなりつつある消費者意識を消費者の欲望視点から分析し、今後の日本の消費社会を読み解く
・対象エリア:日本全国
・対象者条件:20~74歳
・サンプル数:3,000サンプル(20〜70代の6区分、男女2区分の人口構成比に応じて割り付け)
・調査手法:インターネット調査
・調査期間:パイロット調査 2021年5月18日(火)~21日(金)
・第1回調査 2021年9月3日(金)~6日(月)
・第2回調査 2021年12月16日(木)~19日(日)
・第3回調査 2022年5月12日(木)~15日(日)
・第4回調査 2022年11月2日(水)~7日(月)
・調査機関:株式会社電通マクロミルインサイト