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BtoB企業におけるマーケティングDX最前線

理想論ではなく、現場に根付くDXを──コニカミノルタジャパンが全社で進める営業・マーケティングDX


理想を語りやすいDX。「現実の壁」をどう克服するか

栗原:マーケティングや営業プロセスを変革していくうえでの難しさやハードルは何でしょうか。

富家:色々あります(笑)。最近チームメンバーにも言っているのですが、自分たちと関係者の間には「理解の壁」「感情の壁」「合意の壁」「実行の壁」と4つの壁があります。これを1つずつ突破していかなくてはならない。

 理解や言葉の意味が合わなかったり、伝える努力が足りていなかったり、理屈ではなく好き嫌いの感情論で進まなかったり。そこを乗り越えていかに合意に持っていき、実行するか、全ての見定めが必要です。

 指標を作る時も同じです。経営側は統一された指標を求めますが、各事業部の特性があるので1つの型に当てはまらないことも多くあります。たとえば「商談」と言っても、その定義は各部で異なり、定義が統一できないんです。先ほどDXの定義も独自解釈が横行しているという話をしましたが、非常に調整が難しいのが実態です。

 

栗原:DXやマーケティングの教科書的には、用語の定義を統一することの重要性が語られますよね。

富家:営業DXやマーケティングDXは理想論を描きやすいんですが、かかるリソースと得られるリターンを天秤にかけたら「やらない方がいい」ということがたくさんあります。今お話ししたことはその顕著な例です。統一することが目的になって、報告している数字と実態にギャップが生まれてしまったら元も子もないですからね。

ゼロイチではなく、0.1の変化をつないで改革を実現

栗原:DXを推進していくなかで富家さんが得られた気付きを教えてください。

富家:この5年、いろいろなプロダクトや事業のマーケティングを見て、マーケティング支援に注力してきましたが、事業の状態やチームのアサインメント、スキルとリソースとメンバーのマインドセット、そうしたすべてがかみ合わないとなかなか成果が出ないと実感しています。そのためには、俯瞰で見るスキルが必須ですし、外からリソースを調達してくるスキルも必要です。これがそろわずに、できることだけやっていても限界がありますし、頭打ちもはやいです。急に変わるわけはありません。

 これからDXに取り組む方は「まず俯瞰して物事を見る」「複雑な状態のなかから課題を特定して解決策を考える」この2つを意識して経験を積んでいくことが必要だと思います。私自身、メンバーにそれをお願いしていますし、そうしたスキルを身に付けられる環境整備を進めたいと考えています。

栗原:今後はどのように進めていくのでしょうか。

富家:今後については、全社にマーケティング機能を組み込み、ワークさせることが最大のミッションであり、これを少しずつ実現すべく進めていきます。そのためにも、今進めている取り組みを横展開することと、ハブになってつないでいくことの2つを行っていきます。

 実は2023年1月から「BtoBマーケティングラボ」という社内コミュニティーを立ち上げており、現在メンバーは約50人います。組織間同士のオフィシャルな固いつながりとは別に、コミュニティーを通じてもう少しソフトにマーケティングの認知を高め、マーケティングに興味がある人同士でつながれる環境を作ることが目的です。

 目指すのは、マーケティングセンターの価値を体感してもらうことです。そのためには、組織の役割やミッション、機能などの全体像をたくさんの方に理解してもらうことが重要だと考えています。ですので短期的には限られた部門や機能に特化し、0→1を目指すのではなく、0.1がたくさんあるような状態を見据えています。

 こうして全部をちょっとずつ0.1にするのはとても大変です。メンバーに求められるスキルも志も高いので、とてもチャレンジングな目標だと思っています。また、これらを推進するマーケターは、社内にはまだ少ないのが実態なので、活動を通じてたくさんのマーケターを育成し、輩出していきたいと思っています。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/31 12:46 https://markezine.jp/article/detail/42274

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