次に来るのは「CTV広告×〇〇」の統合
CTV広告が強力なマーケティング手法として認知された先にやってくるのは、「CTV広告と何かを掛け合わせ、効果的なマーケティング施策を実行したい」というニーズです。
本稿では、今後注目されるであろうCTV広告との掛け合わせ例をいくつか挙げます。
まず、代表的なものは「CTV広告×リテールメディア(※)」です。リテールメディアと言えば、米国のスーパーマーケットチェーンのウォルマートが市場の牽引者として注目を高めていますが、小売事業者ならではの購買情報と売り場というタッチポイントを活かし、新たな広告価値を創出しています。
※リテールメディア…小売事業者が提供するメディア。ECサイト、店舗アプリ、デジタルサイネージなど。
国内でも、セブン-イレブン、イオン、マツモトキヨシなどの実店舗を持つ小売事業者が、積極的に投資を行い「小売業界発の広告事業」を推進しています。
CTV広告とリテールメディアの共通点は「従来オフラインに位置づけられていた接点&データをデジタル化し、新たな広告価値を生み出した」という点です。
この2つを統合的に活用することで、テレビ画面、店頭のデジタルサイネージ、スマートフォンアプリといった広告効果の高いタッチポイントを押さえることができます。加えて、コンテンツ閲覧データと購買データを活用したターゲティングが可能になり、潜在顧客から顕在顧客まで幅広いリーチが実現します。

イギリスのInfoSum社はすでにこの領域に着手しており、データクリーンルームを使った統合管理のサービスを提供し始めています。近い将来、日本国内でもこうした世界観が実現していくことでしょう。
タクシー広告やSEMとの組み合わせも視野に
また、代表的な組み合わせとして考えられるのが「CTV広告×タクシー広告」です。スタートアップ企業にとってテレビCMは大きな投資で、資金的に困難なケースもあります。そのため、CTV広告とタクシー広告でスモールスタートし、プラットフォームを横断した計測・評価を実施。その結果をもとに、テレビCMなど投資費用の高いメディアへの広告出稿を検討するようなケースも出てきています。
その他にも、「CTV広告×SEM(検索マーケティング)」は2023年のホットトピックスになると思います。これまで、テレビCMとSEMを統合管理し広告配信運用を図れたケースは非常に稀で、オンラインとオフラインの壁、管轄部署およびエージェンシーの分断、などの課題がありました。
しかし、いわば「デジタル化したテレビ」であるCTVが、オンラインとオフラインの壁を超え、買い付けと運用の分断をなくしました。その結果、SEMと組み合わせやすくなり、統合的なプランニングとデータ連携も可能になったのです。また、プログラマティック化が進み、プラットフォームをまたいだ広告運用が実現すれば、さらなる広告効果の向上が期待できます。
以上のように、CTV広告との掛け合わせによるマーケティング施策へのニーズは今後ますます顕在化していくはずです。