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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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CXマーケターの革新事例を探る(AD)

新しい顧客像を発見し、顧客単価が約7,000円上昇!アーバンリサーチに学ぶデータマーケティングとは

 複数のアパレルブランドを有するアーバンリサーチ。同社はCXプラットフォーム「KARTE」の導入により、マーケティングのみならず経営戦略などに関わる様々な判断をデータドリブンにしたという。その1つの結果として、値引き販売を減らし粗利額を向上させることに成功。どのように活用して成し遂げたのだろうか。本取材では、アーバンリサーチの齊藤悟氏と尻江高昭氏、KARTEを提供するプレイドの佐瀬綾奈氏に話を伺った。

KARTEを活用し、ビジネスが向上したアーバンリサーチ

──今回はデータ起点に改善することで、粗利率の改善や顧客単価の向上をされたアーバンリサーチの事例について伺っていきます。まず、自己紹介をお願いできますか。

齊藤:アーバンリサーチで、デジタル事業本部 デジタル事業部の部長をしています。マーケティングやCRM、ECをはじめとするデジタル全般といった実店舗運営以外のおおよその業務を手がけており、200名ほどが所属しています。私の役割としては、全体の経営指標を加味した上で、ECをはじめデジタルとして解決していくべき課題を示していくことです。

尻江:アーバンリサーチのデジタル事業部デザイン課でマネージャーをしています。元々Webディレクターとして入社したのですがオウンドメディアのコンテンツ制作やECのUI/UX改善だけでなく、KARTEを活用してCXをデザインしています。

佐瀬:プレイドでCXデザイナーとして、アーバンリサーチ様をはじめアパレル企業を中心に複数社のカスタマーサクセスを担当しています。

粗利額に着目し、事業成長を図る

──現在のアパレル業界をとりまく環境について伺えますか。

齊藤:業界全体としては、コロナが収束し実店舗が復調してきています。その半面、コロナ禍で一気に成長したECの売上を、今後どのように維持し拡張すべきかという課題は、どこも持っていると思います。また近年のアパレル業界ではサステナブルの文脈から、製品をつくりすぎないことも重要になってきています。

 弊社では、社内で決めた残品率に即しているかを毎月モニタリングしています。

──どのような点に着目して事業戦略を構築していますか。

齊藤:粗利額や、その月の売上に対する仕入れ許容量の上限となる買掛率などもモニタリングしながら、粗利額や営業利益などをKGIとしています。

 それまでは粗利額と合わせて売上もKGIとしていたのですが、やはり業界全体のサステナブルに取り組む流れと、事業の拡大を考えると、粗利額のほうが大事ではないかと考えるようになりました。粗利額を上げるためには定価で買ってくださる人を増やす必要があります。そのためには、いかに「売れ筋」の機会ロスを減らすかと、過剰在庫にしないことの両軸が大切です。

株式会社アーバンリサーチ 執行役員 デジタル事業本部<br />デジタル営業部 部長 齊藤 悟氏
株式会社アーバンリサーチ 執行役員 デジタル事業本部
デジタル事業部 部長 齊藤 悟氏

齊藤:「定価で買っていただける商品は、どんなものをどこで販売されているべきか」を考えたときに、各実店舗で看板を掲げたブランドの商品だけでなく、1店舗で各ブランドを横断した品ぞろえになる店舗を増やしていきました。

 そうすることで、当たり幅の高い商品が販売されるチャネルが増え、発注量が多くなり、原価率を下げられます。結果、粗利率が高い商品になっていくので、それらをモニタリングしながら予測や戦略を立てています。

プレイド、アパレル業界に特化した統合ソリューションの提供を開始!

 「アパレル業界のバリューチェーン課題をデータで解決する」ことをモットーに、プレイドは自社が持つ各顧客接点におけるプロダクト×ヒトの力を掛け合わせたアパレル業界特化型の統合ソリューションの提供を開始しました。

 既にトップ企業でもご活用いただいております。アパレル企業でのデータ活用にお悩みの方は、特設ページをご確認のうえ、お気軽にお問合せください。

KARTEに集約することで、ゴールを起点に戦略を構築

──こうした戦略にKARTEが一役買っていると伺っていますが、まずはどういうきっかけでKARTEを導入されましたか。

尻江:最初は、クーポンを配りすぎていたため、必要な人だけにクーポンを配布するためのMAツールを探していました。一通り調べて話を聞いていく中で、KARTEは管理画面の見やすさがズバ抜けていました。

 このクリエイターフレンドリーな点から、部署のメンバーが使っているところが想像できたのが決め手です。楽しく使えるものでないと成果につながらないですから。

株式会社アーバンリサーチ デジタル営業部 デザイン課<br />マネージャー 尻江高昭氏
株式会社アーバンリサーチ デジタル事業部 デザイン課
マネージャー 尻江高昭氏

──実際、導入してKARTEの活用方法や位置づけは変化しましたか。

尻江:「KARTEでこんなこともできたのか」と気づくことが多く、今では実店舗のデータも入れるようになり、広告運用をはじめ様々な部署で使っています。

齊藤:バラバラだったデータを、KARTEに集約することで指標がそろい分析しやすくなりました。お客さんの気持ちを考えてCXを向上することは大事ですが、前提として「自分たちはこういうお客さんを増やしたい」とマップを描く必要があります。

 そのためにKARTEを使い「定価で購入している人、値引きのときに購入している人はどんな人で、どんな気持ちで買っているのか」を価格や購入場所などに応じて分析していくということを始めました。

 そこから共通項を見つけ出し「粗利額を高くするためにはどういうお客さんが必要で、そのためにどんな商品をそろえるべきなのか」とゴールを起点に戦略を立てました。そうしてわかったことを店舗のスタッフに伝え、実践してもらっています。

──プレイドはどのように支援していますか。

佐瀬:ただKARTEの使い方をお伝えするだけではなく、事業の状況や実現したいことを伺った上で「こんなことをやりませんか?」と提案をしたり、「何か困ったことはありませんか」と聞いたりしています。

 たとえば、コロナ禍で店舗が営業できない時期には、ECへKARTEのWebチャット機能である「KARTE Talk」の導入をご提案しました。サポートツールの印象が強いですが、販売員さんがチャットを通して洋服を選ぶ楽しさをお届けしたら、売上にも貢献できるのではないかと。

株式会社プレイド Customer Experience Designer 佐瀬 綾奈氏
株式会社プレイド Customer Experience Designer 佐瀬 綾奈氏

データ起点で言語化が可能に

──KARTEを使うことでマーケティングはどのように変化しましたか。

尻江:以前はECに来訪した人の人物像が見えなかったため、CVRの高いECをつくることを最優先に考えていたのですが、KARTEで分析するようになって、購入だけが全てではないことがわかってきました。

 僕らのつくるサイトやアプリが実店舗とECを行き来するお客さんのハブになる必要があることが見えてきました。UXだけでなく、リアルも含めたCXについても考えるようになりました。

齊藤:KARTEで裏付けが取れ、解像度の高い状態でデータが見られるようになったので、見えない部分をデータ起点で言語化・定義し、経営会議で具体的に伝えやすくなりました。

 また、LTVを上げていくためにも、お客さんにとっての買い物のストレスや、欲しいと思っているものが手に入らない状態を解消する手だてなど、CXの改善に着手する必要が出てきたんですね。

 丁寧な接客やチャットで疑問に答えるサービスはできて当たり前です。突き詰めると、いかに欲しいと思われる商品を、そのお客様に用意できるかが究極の価値提供となる視点が持ててきました。

プレイド、アパレル業界に特化した統合ソリューションの提供を開始!

 「アパレル業界のバリューチェーン課題をデータで解決する」ことをモットーに、プレイドは自社が持つ各顧客接点におけるプロダクト×ヒトの力を掛け合わせたアパレル業界特化型の統合ソリューションの提供を開始しました。

 既にトップ企業でもご活用いただいております。アパレル企業でのデータ活用にお悩みの方は、特設ページをご確認のうえ、お気軽にお問合せください。

新たな購買行動が判明し、1人当たりの購入金額が約7,000円伸長

──お取り組みの中で、印象的なものはありますか。

尻江:CPU(CX Planning Unit)というプレイドさんのプロフェッショナルチームを紹介していただいたことです。おかげでOMOの理解が深まりました。

 アーバンリサーチには、実店舗とECの両方で購入するお客様が一定数います。その人たちは、どちらかのみで購入するお客様よりも、約3倍もARPU(Average Revenue Per User・1ユーザーあたりの平均的な収益・売上)が高いという数値がありました。しかし、クロスユースするお客様の行動がわからなかったので、一緒に考えていただきました。

 すると、「Shop Buy EC Visit」というECに来訪するが購入せずに、実店舗で買っていた人たちがいることを発見しました。彼らはECをカタログとして閲覧し、実店舗で購買すること。さらに、購買力も高く数が多いことがKARTEのデータで見えるようになりました。

齊藤:それがわかると、ECは必ずしも買われなくてもいい。最高のカタログとして機能することが大事なことがわかってきます。そこで実店舗のスタッフには、接客の中でECに触れる人を増やすようにました。

 結果、購入金額が1人当たり7,000円ほど伸長。全体で見ると7億円ほどの売上向上が見込めます。

 こうした予想外の示唆を得られるところも、KARTEのおもしろい点です。プレイドさんは、そうした副産物的なデータも見逃さずに気づいてくださるのが大変ありがたいです。

 

尻江:さらにShop Buy EC Visitのユーザーへn1分析を行いました。するとそれまで僕らは全く別の客層が買っていると思っていた2つのブランド、URBAN RESEARCH DOORSとURBAN RESEARCH ROSSOの両方を好きな人がいることもわかりました。

齊藤:先ほどもお話しした、実店舗で他のブランドの商品も併売したほうがいいことは直感的に気づいていました。しかしKARTEの分析によって、確信した形です。

 よく考えれば同じ人でも平日と週末で利用シーンが変わることもありますよね。そうやって、どのブランドの店舗に他ブランドのどの商品を併売したら良いのかという裏付けもKARTEから得ることができました。

佐瀬:アーバンリサーチ様の中でも、複数部署の方々に参加いただきました。これによりプロジェクトを単発で終わらせず、部署を横断してKARTEを活用したマーケティングが促進される体制になるように心がけています。

尻江:成果としては、粗利を損なわないレコメンデーションの作り方と、それによりどれだけ売上をリフトアップできるかを定量的にレポーティングできました。

 また、社内で「KARTEでできますか?」とリクエストがたくさん来るようになり、スタッフのCXリテラシーが上がりました。

粗利額が前年超え。今後はアプリ開発とOMOに注力

──他にも、印象的な成果はありましたか。

齊藤:プレイドさんとフルカイテンさんとのPoC(Proof of Concept)です。

 無駄な値引きをしないで済むポイントを見つけ、それをどのようにサジェストしていくか何度かテストした結果、粗利率の改善につながりました。その経験から、売上を伸ばすよりも、粗利額を伸ばすほうがバランスを保てるという、いい知恵を授かりました。

 さらにクーポンを配布しなくても前年度の売上をキープし、一番重視していた粗利額は前年度を超えることができました。KARTEで得られる示唆があったからこそです。

──今後の展望をお聞かせください。

齊藤:次の段階としては、ECにはアプリを通して触れていただけるようにしたいと考えています。そのためにはパーソナライズなどがしやすいネイティブアプリのままがいいのか、SaaS的なもので機能を絞り込みながら、より進化させるのか、考えていかなければいけないことはたくさんあります。

尻江:僕はOMO的なアプローチで気づき始めたことの延長線上で、UIをOMO化するということをやりたいです。アプリをハブとして、お店での体験の続きを家に帰ってからできるようにシームレスにつなぐにはどうすればいいか。今後はディスカッションしたいです。

佐瀬:アーバンリサーチ様はマーケやCRM、広告領域など、複数の部署を横断してKARTEをご活用いただいています。そのため、部署横断でのご活用を今後もご提案していきたいと思っています。

 またアプリやOMOなど、中長期的に取り組んでいかれる部分も、テーマに合わせて弊社のメンバーをしっかりと巻き込み、弊社全体でアーバンリサーチ様に伴走させていただきたいです。

プレイド、アパレル業界に特化した統合ソリューションの提供を開始!

 「アパレル業界のバリューチェーン課題をデータで解決する」ことをモットーに、プレイドは自社が持つ各顧客接点におけるプロダクト×ヒトの力を掛け合わせたアパレル業界特化型の統合ソリューションの提供を開始しました。

 既にトップ企業でもご活用いただいております。アパレル企業でのデータ活用にお悩みの方は、特設ページをご確認のうえ、お気軽にお問合せください。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社プレイド

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/03 14:53 https://markezine.jp/article/detail/42289