三井住友カードの事例に学ぶ、データ活用への道のり
――続いて、白石さんから現在三井住友カードが推進しているデータ活用について、もう少し詳しく教えていただけますか。
白石:SMCCでは、2019年にCustellaをリリースしました。これはSMCCが保有するキャッシュレスデータを、個人・加盟店が特定できないよう統計化し、事業者のマーケティング課題に合わせて、分析から施策の実施まで行うデータ分析支援サービスです。
私たちは現在、このCustellaとというサービスを通じて小売業の皆様とご一緒に、様々なテーマに取り組んでいます。また、私たちが保有するキャッシュレスデータは、元は決済業務のために定義されているため、マーケティング目的に合わせたクレンジング処理にも精力的に取り組んでいます。たとえば「ふるさと納税」をキャッシュレスで決済したデータは、「その他税」という項目で表示されてしまうことがあります。そのままではユーザーの決済行動や意図が読めないため、人の目で仕分ける必要があるのです。
AIなどの技術を駆使しながら、データの蓄積・整理には取り組んではいますが、まだまだ改善が必要です。これからも様々なチャレンジを行い、できることのレパートリーを増やすべきだと考えています。
白井:SMCC様は、決済データを保有している強みを最大限活かしていますね。決済データは、商品やサービスの利用前後の行動を把握することができ、具体的なユーザー属性も理解できます。確度の高い顧客へアプローチする手掛かりとなるわけですから、これからのデジタルマーケティングにおいて、とても有効なデータだと思いますね。
三井住友カードのデータ活用における組織体制、パートナーの役割
――SMCCでは、現在どのような組織体制でデータ活用に関する業務を行っているのでしょうか。
白石:データ戦略部は現在、約80名のメンバーで構成されています。さらに、業務委託のパートナーの皆様を含めると100名を超える体制を敷いています。
――パートナーの方も一部入れながら組織を編成しているとのことですが、パートナーにはどういった役割が求められると思いますか。
白石:組織のパフォーマンスを高度化し、平準化する上で、パートナーの存在は欠かせないと思っています。SMCCのデータ戦略部は、前身のデータ戦略室時代に5~6名の組織で、そこからキャリア採用を急拡大し現在の人数規模まで拡大してきました。
しかし、データ活用領域の採用は競争が激しく、望み通りの採用ペースを保つのは難しいです。また、組織の流動性とも向き合って、入社後に更なる成長を求めて転職する方を気持ちよく送り出していけるような組織としての度量が必要になっているとも感じています。
そのような組織が不安定になる要素を解消する上でもパートナーの存在は重要です。安定して業務を遂行してくれる上に、データのマネジメント戦略といった上流からデータ活用施策の実行など下流部分までサポートしてくれます。SMCCでは、それくらい垣根なくパートナーと一体になっています。