YouTube動画広告のベストプラクティスを発表
YouTubeで高い効果を獲得した動画広告を表彰する「YouTube Works Awards」。日本での開催は今年で3回目だ。2022年に展開した動画広告を評価する「YouTube Works Awards Japan 2023」は、審査員⻑にクリエーティブディレクターの細川美和⼦⽒、YouTubeクリエイター・コムドットやまと⽒を迎え、合計12名の審査員がファイナリスト49作品を審査。全8部門の受賞作品と、その中からグランプリである「Grand Prix」が選出された。
広告投資に重要なことは価値ある情報を届け高い効果を出し、投資対効果を検証し常に改善することだ。様々なアワードで審査員を務めてきた細川氏は「ビジネス効果を非常に重視して評価しました」とYouTube Works Awardsの特徴を語る。
つまり、受賞作はYouTube動画広告のベストプラクティスとも言い換えられるだろう。ここからは、Grand Prixと各部門の受賞作品を紹介していきたい。
グランプリは若年層との接点強化を目指した明電舎
各部門賞の中で、最もインパクトが大きく、YouTube広告を最大限に活用し、ビジネスへの効果へと繋げることに成功したキャンペーン「Grand Prix」を贈られたのは、明電舎の「『電気よ、動詞になれ。』ピクセルアート篇」だ。同作品は、初めてYouTube広告に挑戦し、蓄積された実績がない中で優れたビジネス目標を達成した企業に贈られる「Breakthrough Advertiser部門」の受賞作品でもある。
重電メーカーの同社は、変電所の電気設備や電車の電源など、電気の技術を通じて世の中と暮らしを支えているが、BtoB業態のため一般の人々からは認識されにくい。定点でのイメージ調査によると、20歳以下の認知スコアは20年前の約半分の水準となっていた。
彼らは将来の取引先でありリクルートにおいても重要な年代だ。そこで、まずは明電舎と若年層(18~34歳)との接点を強化することを目標として設定。同社のチャンネルの過去最高再生数30万超えをKPIに、広告キャンペーンを展開した。
若年層を惹きつけるために着目したのは、「MV視聴」。歌詞を追う感覚で言葉を届ける「企業MV」に仕立て、企業のメッセージングを心地よい体験に変えられないかと考えた。
スキップ可能なTrueViewインストリーム広告を利用しつつも、2分超の長尺ながら、一度出会うとつい最後まで見てしまう構成を狙い、サイト誘引ありきではなくYouTube広告だけでも目的達成まで完結できる設計にしたという。
結果、再生回数は210万超、好意度は2倍以上、月間のサイト訪問数20倍以上を達成。さらに、「就職先のひとつとして関心をもった」が49%と、1本の動画で約半数が就職という深い関心を持った。
審査員長のやまと氏は「(BtoB企業の動画は)視聴者目線になると、自分たちはターゲットではないと感じられそうなところを、ピクセルアートですっと頭に入ってきました。スキップできるのに、スキップしたくない。最後まで見たいクリエイティブに昇華している点が素晴らしかったです」と講評した。