Teadsが高いアテンションを引き出せる4つの強み
「[Meta x Beacon Communications x Teads担当者対談] Quest 2キャンペーンのデジタル・マーケティング戦略とアテンションエコノミー: テクノロジー x ブランド x エージェンシー対談」に登壇したのは、Teadsのセールスマネージャーのボルワニ・ラヴィン氏と、MetaでAPACのメディアストラテジーマネージャーを務める勝木 華苗氏、そしてPublicis Media(ビーコンコミュニケーションズ)のデジタルディレクターであるシャーマン・ケリー氏だ。
セッションではまず、ボルワニ氏よりTeadsがどのような媒体なのか?という説明から始まった。
「Teadsは、直接契約したメディアの記事中へ自社開発ツール“Teads Studio”で最適化した広告クリエイティブを配信しています。ユーザーは強制視聴ではない状態でリッチなクリエイティブに触れることとなり、その結果アテンションが得られやすくなるのです」(ボルワニ氏)
ボルワニ氏は続けて、Teadsがユーザーからアテンションを得られやすい理由として、プレミアム、クリエイティブ、データ、ゴールオリエンテッドの4つの強みを紹介した。
1.プレミアム
Teadsでは、新聞社や雑誌社、その他国内メディアと直接契約して良質な記事中の広告在庫を確保している。また、ボルワニ氏は「プレミアムでありながらスケーラブル」と語るように、在庫量に関しても豊富。ボルワニ氏は「パブリッシャーチームがプレースメントの交渉を行っている。日本国内では人口の約61%のカバレッジを有しており、しっかりとスケールできる。」と在庫の多さをアピールした。
2.クリエイティブ
Teadsでは、Teads Studioというクリエイティブ制作ツールを有しており、モバイルの画面に適した動画広告の制作をサポートしている。Teads Studioを活用し、既存の動画広告に手を加えた結果、視聴率が10倍、ブランドリフトが31%、アテンション獲得が49%増加した事例もあるという。
3.データ
Teadsでは、プレースメントにフォーカスした配信が行えることに加え、Cookieレスにも対応したデータ活用を推進している。
4.ゴールオリエンテッド
Teadsでは、Sustainable audience targeting(持続可能な自社ファーストパーティデータを活用したオーディエンスターゲティング)とAdvanced contextual targeting(記事の文脈に合わせ消費者のモーメントを捉えるコンテキストターゲティング)という2つのCookieレスターゲティングを用意。また、成果指標も様々な値を設定できることから、100%Cookieを使わずに広告主のパフォーマンスに貢献できる。
Cookie活用の有無でA/Bテストを実施 Meta Quest 2の事例
続いて、Teadsを活用した事例として、VRデバイス「Meta Quest 2」のキャンペーンを紹介。Meta Quest 2では、ゲームやフィットネス、エンターテインメントなどあらゆるVRコンテンツが楽しめる。
同デバイスのマーケティングを担当する勝木氏は「VR市場は広がったがまだまだ成長の余地がある。VRデバイスの利用で得られる体験価値をもっと伝えていきたい」と語り、2022年の冬に行ったキャンペーンの概要を説明した。
「『なんでもありを、生きてやれ』というメッセージの広告を出稿しました。日本では、自身の興味や趣味を追求したい欲求があるのに対し、仕事や勉強、日々の生活でその欲求を満たせていないという課題が見えてきました。今回のキャンペーンでは、Meta Quest 2を利用すれば、自宅からすぐ自身の興味や趣味に没頭できることを伝えたかったのです」(勝木氏)
Metaは、「なんでもありを、生きてやれ」のコピーを活用したクリエイティブのテレビCMを放映。更なるリーチの拡大を目的にTeadsの活用を決めた。
Teadsを活用する際のポイントについて、ケリー氏は「カスタムオーディエンス」「CookieレスA/Bテスト」「クリエイティブ最適化」の3つを挙げた。これらを組み合わせたことで、高い効果が出せたという。
まず、カスタムオーディエンスでは、事前の調査をもとに広告のターゲットをゲーム愛好者に設定。テクノロジーやゲームに関する興味関心、ゲームコンソールやゲームの購入意図を持つTeadsのオーディエンスデータと、ゲーマーに関するサードパーティーオーディエンスデータを組み合わせ、ターゲットに対する的確なリーチを実現した。
2つ目のCookieレスA/Bテストでは、Cookieレス化が進んでいることを考慮し、Cookieを用いたターゲティングとそうでないターゲティングで広告を配信し、A/Bテストを行った。セッションの中で紹介された調査結果では、日本でも55%のユーザーはもうCookieを駆使したターゲティングが難しい状況だ。しかし、45%のユーザーにはCookieベースのターゲティングが可能なことから、両方のターゲティングを駆使したという。
クリエイティブ最適化でアテンション最大化、そして得られた成果とは?
3つ目のクリエイティブ最適化に関しては、Teads Studioを活用し、既存のクリエイティブをTeadsのフォーマットに合わせて編集。その結果、アテンションやブランド想起、インタラクション、滞留時間の増加につながった。
Teadsの特長を存分に活かしたキャンペーンを行った結果、VTR(視聴完了率)は65%、CTR(クリック率)は0.21%、ブランドリフトは16ポイント向上と、すべてがベンチマーク値を上回る結果となった。
またCookieレス、Cookie使用のターゲティングに関するA/Bテストの結果は、Cookie使用広告のVTRは59%だったのに対し、Cookieレス広告がVTR65%と上回った。その他にもCPCV(視聴完了単価)、CTRの値においてCookieレス広告のほうがすぐれたパフォーマンスを発揮した。
セッションの最後、ボルワニ氏は今回のキャンペーンが成功した理由をまとめ、セッションを締めくくった。
「今回のキャンペーンでは、Teadsで提供のできるテストをきちんと行うことで、ターゲットに対しての成果が明確にわかり、Metaさまにご納得のいく結果をお返しできたと思っています。Teadsを活用いただき、素晴らしい結果が得られたことを嬉しく思っています」(ボルワニ氏)
アテンションエコノミーとは?Teads今村氏の解説
後半にお届けするのは、「アテンションエコノミー: テクノロジー×ブランド×エージェンシー対談 メディアの品質とクリエイティブの効果とは」というセッションのレポートだ。登壇したのはTeadsの今村 幸彦氏、エスエス製薬の新免 珠美氏、電通のグラント・ジョシュア氏の3名。
最初に今村氏から、最近注目されている新しい指標である“アテンション”について説明があった。
「“アテンション”とは近年、海外、特に欧米において注目が高まっている概念です。今の時代を“アテンションエコノミー”と表している調査もあります」(今村氏)
これまでの社会では情報の質、正確性に対して経済価値が与えられていた。しかし現在では情報の氾濫によってその状況が変化。『いかに人の注目を集めるか』に対して経済価値が発生するようになった。こうした概念をアテンションエコノミーと呼んでいる。
このアテンションエコノミーが浸透していく中「広告に関してもアテンションの測定が求められていく」と今村氏は語る。ある調査では、消費者が1日のうち約5時間をメディア消費に費やし、その中で84分も広告に接触している。しかし、広告でアテンションが獲得できているのはわずか9分だという。つまり、広告には接触しているものの、そのほとんどが認知されずにスルーされているのだ。
新免氏は自社のマーケティングを例に、アテンションの重要性について以下のように語る。
「現在、エスエス製薬では、テレビとデジタルをミックスし、複数のクリエイティブでキャンペーンを行っています。そのため、どのキャンペーンが効いたのかわかりにくいのが正直なところです。ですが、各広告のアテンションを計測できれば、不明瞭な部分がクリアになっていくのではと期待しています」(新免氏)
ビューアビリティとアテンションの違いとは?
アテンションの注目度が高まる前から、広告が見られているか見られていないかを見る動きは進んでいた。たとえば、ビューアビリティは広告の視認性を測る指標として使われてきた。しかし今村氏によると「ビューアビリティとアテンションは違う指標であることを認識しなければならない」と話す。
「広告を購買につなげるには、表示されているかどうかを測るビューアビリティでは不十分で、広告が見られているかというアテンションを見る必要があります。実際、アテンションをベースに広告配信をした場合は、ビューアビリティをベースにした場合よりもパフォーマンスが高いことがわかっています」(今村氏)
加えてグラント氏は「結果的に広告の無駄撃ちを減らしたり、浮いた費用を用いて他のメディアに出稿したりできるようになり、より効率的に事業を成長させられるようになる」とアテンションを取り入れるメリットを話した。
今村氏はここで、海外の調査において判明しているアテンションを高める4つの要因を紹介した。
「1つ目の要因は視聴可能時間です。広告は表示時間が長いほどアテンションが高くなっていくため、トータルでどれだけの時間、画面に表示されていたかが重要になります。2つ目は選択。ユーザーが能動的に選択して見ているかどうかで、アテンションの度合いが変わってきます。3つ目の要因はクリエイティブで、有名なタレントの起用や秀逸なクリエイティブはアテンションを得る上で大きなパワーを持ちます。そして4つ目は関連性です。消費しているコンテンツに関連した広告のほうがアテンションも高まります」(今村氏)
新免氏は、4つの要因と自社のマーケティングを照らし合わせながら「コンテキストや関連性を意識した広告を配信し、消費者に寄り添ったクリエイティブを作っていきたい」と話した。
アテンションベースの広告配信ができる未来が到来する
セッションの後半、電通のグラント氏が中心となって行う検証プロジェクトについて紹介があった。このプロジェクトにはTeadsも協力しているという。
「このプロジェクトでは、メディアプランの無駄を最小限に抑え、最大限の効果を生み出すこと。そのための検証を始めました」(グラント氏)
電通の調査では、テレビの視聴率は2005年の23.5%から2019年に18.6%まで低下したことがわかっている。この背景には、YouTubeやTikTok、Netflixなどの各種動画配信サービスの台頭があるという。
テレビの視聴率低下分の広告効果をどう取り戻すか。今回の検証では、電通が3年以上かけて培ったアテンションに関する知見を活用。テレビとオンライン動画を視聴するモバイルメディアとのアテンションの比較や、同時視聴の場合の優先度、オンライン動画広告におけるアテンションを決定づける要因の探求など、様々な検証を行ったという。
その結果、いくつかの示唆が見えてきた。本記事ではその中から注目すべきものを紹介する。
ビューアビリティ=アテンションではない
テレビCM、ディスプレイ広告、動画広告のビューアビリティとアテンションを検証したところ、テレビCMのビューアビリティは70%を超える一方、アテンションは35%~43%(広告の秒数によって変化)となった。また、ディスプレイ広告や動画広告もビューアビリティが高くてもアテンションが高くない媒体が存在した。その一方で、Teadsのディスプレイ広告(in-Article)では69%とディスプレイの中では最大値、動画広告ではTeadsのフォーマット(in-Article)は47%〜74%ものアテンションを得られていることがわかった。 *Teadsの動画広告は強制視聴型ではない。
チャネル×フォーマットでアテンションのレベルが異なる
グラント氏のプロジェクトでは、ディスプレイ広告と動画広告を対象に、あらゆるフォーマットとチャネルでアテンションを検証していく。結果として、組み合わせ次第でアテンションの結果が異なることがわかり、クリエイティブ検証の重要性の高さも浮き彫りになっているという。
注目度=有効性で置き換える
そして、これらの検証を通じて、アテンション、広告視聴時間、ブランドリフトの有効性で測っていくことが重要であることがわかったという。電通ではデータ収集を通じて、これらの検証を様々なプラットフォームやフォーマットで比較できるようにしていくそうだ。
このプロジェクトは国内の有数のブランド・メディアが集い、9月より新たな検証を行い、その結果をホワイトペーパーとして公表するとともに、来年以降電通社内にてツール化をしていくという。最後に今村氏は今後の展望を語りセッションを終えた。
「アテンションをベースにしたメディアプランニングが近い将来可能になるということをお伝えできたと思いますし、これをベースにTeadsの広告のアテンション効果の高さを実証できるようになるということを楽しみにしております」(今村氏)