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Withコロナ時代、一歩先行く企業コミュニティの共創最前線

「デジモン」古参ファンの熱量を今につなぐ!東映アニメーション流のコミュニティ運営

ファン投票で意外なキャラの商品が売れた

下村:コミュニティでは、ファンのデジモンへの強いこだわりを「共創」というプロセスに発展させ、コーナー化しています。それぞれの“推しキャラクター”がいる会員にとって、自身の思い入れを具現化してくれる場になっているのではないでしょうか。

 パートナーズプロジェクト(共創プロジェクト)では、会員の声を集めて様々なグッズ開発に反映させています。たとえば、等身大のぬいぐるみやオルゴール。ぬいぐるみ化するデジモンや、オルゴールの曲・絵柄を決めるにあたり、会員による投票を実施しました。

浮田:我々が選ぶとメジャーなキャラクターに票が集まりがちですが、意外にも「ドルモン」や「チビモン」といった少々レアなキャラクターが多数の票を獲得しました。 「このキャラクターで採算が取れるのか」という我々の心配をよそに、ぬいぐるみとオルゴールの売上は好調です。ファンの視点に驚かされることはしばしばあります。

(左)チビモン等身大ぬいぐるみ(右)オルゴール
(左)ぬいぐるみは11,000円と38,500円の2種類を販売。写真の「チビモン等身大ぬいぐるみ」はTwitterで拡散され、売上増につながった
(右)共創から生まれたオルゴールは28,600円。2023年5月時点で受注販売は終了している

浮田:会員はSNSで共創商品を拡散してくれました。購入後も写真を投稿する会員が多く、共創プロジェクトはバイラル効果が高い取り組みだと感じています。

水野:デジモンは世界中で人気がありますが、コミュニティ上で海外のファンに向けた特別な取り組みはありますか?

浮田:海外のファンからは「デジモン発祥の地・日本でどんなことが起きているのだろう」という関心がコミュニティに寄せられています。そのためサイトでは英語に対応し、海外ファンが参加しやすいつくりにしています。

水野:デジトーク(掲示板)のスレッドにも翻訳の機能が備わっていますね。会員同士のインタラクティブなコミュニケーションにおいても、言葉の壁を解消するための配慮が感じられます。

海外の会員からも画像とともに熱量の高い投稿が寄せられている
海外の会員からも画像とともに熱量の高い投稿が寄せられている

下村:言葉の壁を取り除くための工夫として、コンテンツをよりシンプルにすることも意識しています。グッズの購入など、海外ファンには体験できないことも多いですが、ビジュアルを通じて情報を提供することで、ある程度の満足感を得てもらえているのではないかと思います。

熱量の高いファンと新規層の分断を埋める

水野:一時代を築いたものの、その一世代だけで消えてゆくものは少なくありません。デジモンは初代のアニメシリーズと後続作品をうまくつなぎ、永くブランドを存続させている好事例だと思います。

アイ・ティ・アール シニア・アナリスト 水野慎也氏
アイ・ティ・アール シニア・アナリスト 水野慎也氏

浮田:熱量の高いファンが多い初代シリーズと後続シリーズの間には「分断」があると感じていました。その分断を埋める存在がコミュニティです。初代シリーズの熱心なファンと、新たにデジモンに触れるファンが、共通の視点や話題で盛り上がることで、デジモンファン全体の活性化が可能になると考えています。

下村:デジモンパートナーズは会員制のコミュニティサイトですが、すべてのコンテンツを非会員にも公開しています。デジモンに興味を持つ人々が自由に参加することで、その輪が広がることを目指しているからです。初代ファンの中心である20代後半から30代前半の世代は、期待どおりコミュニティでリーダーシップを発揮してくれています。外山も熱量の高い初代ファンの一人です。

水野:IPはその名のとおり財産であり、伝承していくことができるものだとわかりました。東映アニメーションのようなコンテンツビジネスを展開していないブランドでも、そのブランドのコンセプトやネーミング、デザインなどは財産と言えますし、それを伝承することで新たな顧客を獲得するストーリーが生み出せるはずです。

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親子二世代にわたるファン獲得を目指して

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この記事の著者

水野 慎也(ミズノ シンヤ)

株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト
デジタルマーケティングを中心に、IT製品・サービス市場の調査分析を通し国内企業のITや企画部門向けにコンサルティング活動を行う。 自身も前職のカゴメでは、ファンコミュニティサイト“&KAGOME”の担当者として運営をリードした実績を持つ。
【関連リンク】アイ・ティ・アール

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/12 07:00 https://markezine.jp/article/detail/42686

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