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生活者ニーズ起点で市場を捉える~購入者のリアルな口コミから捉えるプロテイン商品の競合環境~

プロテイン商品に紐づく生活者ニーズやシーンのトレンドは?

 このようなニーズやシーン需要は年々高まっているのでしょうか。各キーワードが含まれる口コミ件数および、口コミされている商品数の経年変化を見てみます(プロテイン商品に限らず、口コミされたすべての商品を集計対象としています、図表3)。

図表3:生活者のニーズやシーン別の口コミ商品数と口コミ数
図表3:生活者のニーズやシーン別の口コミ商品数と口コミ数(クリック/タップで拡大)

 口コミ件数、口コミされている商品数ともに最多の「たんぱく質摂取」はコロナ禍の20年~21年にかけ、健康志向の高まりとともに急拡大しました。体づくりや健康寿命を延ばすためなどあらゆる世代で重要な栄養素として、今後も需要が維持・拡大することが想定されます。

 一方、「糖質制限」は20年をピークに減少傾向です。コロナ禍に入り、“制限する”健康志向ではなく、筋トレ・運動+たんぱく質といった“摂取する”健康志向に生活者の関心が向いていったことがうかがえます。

 また「栄養補給」「ダイエット時のおやつ」目的や、「運動前・運動中・運動後」「筋トレ」シーンを見ると、口コミ件数・商品数ともに20~21年にかけて最多となっています。在宅時間、“コロナ太り”解消目的のダイエットや運動需要が高まったことがうかがえます。

生活者ニーズで見たプロテイン商品の競合とは

 ここからは、それぞれのニーズやシーン目的で、生活者がどんな商品を購入しているか見ていきます。なお、口コミ内のキーワードについては、同じ意味合いであれば、異なるキーワードでも集計対象に含めています。まず「糖質制限」「栄養補給」「たんぱく質摂取」の3つのニーズに関する結果を見ていきましょう。

糖質制限

 「糖質制限」というキーワードが含まれる口コミ件数を100%とすると、1位はビール類(約16%)、2位はスイーツ類(10%)、3位は菓子/調理パン類(9%)です。ビール類は、糖質オフや糖質ゼロタイプ購入者で口コミがあります。コロナ前から1位でしたが、コロナ禍の宅飲み需要と健康志向の高まりでさらにシェアを伸ばしました。

 2位のスイーツ類は糖質を抑えたエクレアやシュークリーム、ケーキ、ドーナツなど様々な商品で口コミされています。また3位の菓子/調理パン類は主にコンビニチェーン各社が展開する糖質オフ商品で口コミされています。プロテイン商品はプロテインバーなどで口コミされていますが、わずかにとどまりました。

 プロテイン商品はプロテインバーなどで口コミされていますが、わずかにとどまりました。

 このことから、元々糖質が高めで嗜好品寄りのカテゴリーでの糖質制限ニーズが高いことがうかがえます。既に喫食・飲用習慣がある食べ物でいかに糖質を抑えられるかが求められ、プロテイン商品に置き換えて糖質制限する動機は弱そうです。

栄養補給

 「栄養補給」というキーワードが含まれる口コミ件数を100%とすると、1位はスポーツドリンク類(23%)、2位は栄養バランス食品類(11%)、3位は栄養ドリンク類(7%)です。

 1位のスポーツドリンク類は、ゼリータイプのエネルギー補給、ビタミン・ミネラル補給飲料が上位を占め、栄養補給用途でポジションを確立しています。

 プロテイン商品はゼリータイプのプロテイン入りスポーツドリンクや、プロテインバー購入者で口コミされています。しかし口コミ数は非常に少なく、栄養補給=プロテイン摂取という結びつきはまだ弱そうです。

たんぱく質摂取

 「たんぱく質摂取」というキーワードが含まれる口コミ件数を100%とすると、1位は鶏肉類(9%)、2位はヨーグルト類(8%)、3位は栄養バランス食品類(6%)です。

 1位の鶏肉はむね肉購入者を筆頭に口コミされています。2位のヨーグルトはたんぱく質含有量を打ち出した商品、3位の栄養バランス食品は、主にプロテインバーやプロテイン入りミルク飲料購入者で口コミされています。

 日々の食卓に取り入れやすい食材・食品が上位に挙がっており、その中でプロテイン商品も浸透しています。

 なお「たんぱく質摂取」と口コミされている商品数は年々増加傾向にあり、生活者の選択肢が増える中で競合商品や競合カテゴリーに代替されるリスクが高まっています。

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生活者シーンで見たプロテイン商品の競合とは

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この記事の著者

田辺 浩之(タナベ ヒロユキ)

 2012年、インテージに入社。食品・飲料業界のお客様を中心に、主にパネル調査を活用したアナリスト業務に従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/13 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42714

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