クレカ各社のブランド力を調査 重要視すべき評価軸は?
第1回で紹介したように、「NRI BRAND INDEX」(以下、NBI)とは、野村総合研究所が独自に開発したブランド評価指標だ。過去から蓄積されたブランド力を示す「Baseスコア」、今後のブランド力の方向性を推測する「Leadスコア」、直近のブランド力の変動を示す「Trendスコア」の三つの指標と、それらから合成する総合指標「NBI」で構成される。
今回は、NBIの調査から「クレジットカード」のカテゴリーで高いスコアを獲得するブランドを取り上げ、その人気の理由を紐解いていく。なお、本稿でのクレジットカードは国際ブランドではなく、各カードの銘柄のことを指す。
図1はクレジットカードにおける「Baseスコア」と「NBI」の上位10ブランドを示したものだ。
「クレジットカード」カテゴリーにおいては、過去から現在の評価を意味するBaseスコア、総合評価スコアのNBIともにTop3は変わらず、PayPayカード、三井住友カード、セゾンカードの順となった。特にTop2の2ブランドは3番目のセゾンカードとはスコアを引き離し、安定した地位を築いている。
Top3が不動である一方、BaseスコアとNBIの間で変動が見られるのは4位~6位のブランドだ。イオンカードとアメリカン・エキスプレスの順位が入れ替わり、JCBオリジナルシリーズが順位を上げている。これらの変動は、第2回でも紹介したようにオピニオンリーダーの評価や直近の動きによる影響が大きい。このようにクレジットカードにおいてもオピニオンリーダーからの評価が今後のブランド評価において大きく関係していることがわかった。
BaseスコアでTop3のブランドは?「お得」の認知を得るPayPayカード
では、クレジットカードのTop3ブランドが、それぞれどのような差別化要素により評価されているのか。図2では、Top3ブランドのBaseスコア評価指標をレーダーチャートで示している。
1位のPayPayカードを見ると、「ジャッジメント」が突出。このジャッジメントは理性的で合理的な評価を表しており、詳細を見ると「キャンペーンなどの特典が充実している」という評価が、全体平均の2倍近いスコアとなっていた。また「キャンペーンの充実」はブランドに対する共感や愛着を表す「レゾナンス」との相関も見られる。PayPayカードはポイント還元などの特典をフックに顧客拡大も成功させているため「世の中に広く知られているお得なクレジットカード」というポジションを確立していると言える。
2位の三井住友カードは、「ジャッジメント」も高いが、注目したいのは「イメージ」「フィーリング」の高さだ。「イメージ」はブランドに対する印象を表すもので、「信頼性」「安心感」への評価の高さが確認された。これは、カードの名称に金融機関名が付いていることによる盤石なイメージが大きく作用していると考えられる。
では、3位のセゾンカードはどうか。こちらは理解・評価やレゾナンスについての評価に目立って高い項目はないものの、購入経験のスコアが1位のPayPayカードと同程度で、助成想起の水準が他ブランドと比べて高い。その要因には、セゾンカードが実施する有名人とのコラボ企画やアイドルや観劇など“推し活”の申込特典による影響が考えられる。