ラグジュアリーブランドのブランド力、Baseスコア・NBIともに1位はLouis Vuitton
第1回で紹介したように、「NRI BRAND INDEX」(以下、NBI)とは、野村総合研究所が独自に開発したブランド評価指標だ。過去から蓄積されたブランド力を示す「Baseスコア」、今後のブランド力の方向性を推測する「Leadスコア」、直近のブランド力の変動を示す「Trendスコア」の三つの指標と、それらから合成する総合指標「NBI」で構成される。今回は、NBIの調査から「ラグジュアリーブランド」のカテゴリーで高いスコアを獲得するブランドを取り上げ、その理由を紐解いていく。
図1は、「Baseスコア(過去から蓄積されているブランド力)」と「NBI(直近と将来の動きを加味したブランド力)」の上位10ブランドを示したものだ。
ラグジュアリーブランドでは、Baseスコア、NBIともにTOP3は変わらず「Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」「ROLEX(ロレックス)」「CHANEL(シャネル)」の順となった。3ブランド間のスコア差もBaseスコアとNBIの間ではで大きな差は見られない。
一方、8位以降では、BaseスコアとNBIの間で違いが見られた。Baseスコアの8位は「BURBERRY(バーバリー)」、9位が「PRADA(プラダ)」、10位が「Cartier(カルティエ)」。
NBIで見ると、BURBERRYは11位以降に転落し、代わりに「DIOR(ディオール)」が8位にランクインしている。ここから、Baseスコアでは加味されていないオピニオンリーダーの評価や直近の勢いにおいてDIORに強みがあることが見て取れる。
Louis Vuittonは、「購入経験」「愛着」「ロイヤルティ」でハイスコア
続いては、Baseスコアを構成する要素を比較しながら各ブランドの要素を分析する。ここでは、ラグジュアリーコングロマリットのLVHMからグループを代表するLouis Vuitton、DIORの2ブランド、そしてケリング・グループを代表する「GUCCI(グッチ)」、これらコングロマリットに属さない独立系のCHANELと「HERMES(エルメス)」について取り上げる。
今回、Baseスコアで1位であったLouis Vuittonを見ると、「購入経験」が突出。さらに利用することによって生まれるレゾナンス項目である「愛着」「ロイヤルティ」のスコアが高い。また、「イメージ」「パフォーマンス」についても1位で、多くの生活者から、何かしらのイメージが想起されており、評価されていることがわかる。
一方、SDGsの項目では、HERMESやGUCCIがけん引しており、Louis Vuittonはこれらにはおよばない結果となった。HERMESやGUCCIがSDGsスコアを形成する要素としては、ともに「地球環境に気を配っている」「商品を通じてSDGsの達成に取り組んでいる」のイメージが高いという特徴が見られる。特に、GUCCIが所属するケリング・グループは、サステナ先進企業としても有名であり、長年積み重ねてきた結果が反映されていると考えられる。また、HERMESは、職人技により作られる高品質な製品が世代を超えて受け継がれることから、持続可能なブランドとして捉えられていることも想定される。
ただし、いずれのブランドでも「コミュニティ」の弱さは特徴として挙がる。言い換えると、この項目を高めることで、他ブランドと大きく差別化が図れると言える。