直近のブランド力には「デザイン」「コラボ」が影響
次に、SNSにおける言及の状況などを踏まえて直近のブランド力の変動を示す「Trendスコア」でブランドを比較した。
セゾンカードは他ブランドと比べても圧倒的に高いスコアとなっており、先述した“推し活”系の施策に関連する投稿がSNSで目立ったことからスコアを伸ばしたと考えられる。なお、こうした話題づくりの影響がBaseスコアの助成想起の高さにも表れているようだ。

出所:NBI2023(Web調査、2023/2)
また、Trendスコアで大きく順位を伸ばしたのがイオンカードとエポスカードだ。Baseスコアと比較して、イオンカードは5位から2位に、エポスカードは13位から5位にランクを上げている。これらのブランドにおいては、キャラクターとのコラボデザインやアーティストの公演申込特典の投稿が目立った。特にエポスカードは、バラエティに富んだデザインのカードを複数展開しており、Baseスコアの評価指標の一つである「パフォーマンス」の詳細項目「デザインが好きである」の値が突出していたのもその影響によるものだろう。
しかし、コンテンツのイメージがあまりにも際立ってしまうと他の評価指標のスコアが上がりづらいというリスクも孕んでいる。そのため、ブランド戦略を考える際はユーザーにどのようなブランドイメージを与えるのか留意する必要がありそうだ。
特別感と定番感をあわせ持ってオピニオンリーダーから評価された「JCBオリジナルシリーズ」
では、オピニオンリーダーから評価されたクレジットカードブランドはどれなのか。LeadスコアのTop3のブランドから確認すると次の結果だった。

図4.「クレジットカード」におけるBaseスコアとLeadスコア
出所:NBI2023(Web調査、2023/2)
図4のランキングを見ると、上位10ブランド間でもBaseスコアのTop10と変動が生じていることがわかる。
Top3に順位を上げたJCBオリジナルシリーズについて評価ポイントを詳しく表した図5を見ると、Top2と比較して、「イメージ」「フィーリング」「コミュニティ」「エンゲージメント」が突出していることが確認できる。

図5. 上位3ブランドのLeadスコア詳細評価
出所:NBI2023(Web調査、2023/2)
さらに詳細を見ると、「利用できる加盟店の数が多い」「質が良い」「定番」「伝統」といった項目のスコアが高いことがわかった。また、レゾナンスにおいては「他のブランドに変えたくない」を中心に、同じブランドを持っている人への共感や連帯感、推奨意向が高く出た。
昔から慣れ親しんだブランドが持つ定番感に加えて、購入経験のスコアが低い、つまり保有している人が少ないという、自分は他の人と違ってこのブランドのことを良く知っている特別感のようなものがブランドを構成しているのではないだろうか。