SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

ノバセル田部正樹の事業を成長させる“商売視点でのマーケティング”とは

長続きするブランドは何が違うのか? Brandism木村氏×ノバセル田部氏対談


 ノバセルの田部正樹さんが有識者・第一線で活躍するマーケターとともに、事業成長に“真に”貢献するマーケティングとは何かを探っていく本連載。第6回のゲストには、企業のブランディング・マーケティング支援を行うBrandismの木村元さんをお招きしました。大手メーカーからスタートアップまで、様々な企業のマーケティングに携わってきた木村さんが大切にしている考え方をうかがいます。

営業時代に培われた利益への意識

田部:この連載は、事業成長に真に貢献するマーケティングのあり方や、それを展開していくためにはどうすれば良いのかを考えていくものです。第6回のゲストには、Brandismの木村元さんをお招きしました。木村さんはユニリーバ時代に営業を経験してからマーケティング部門に配属されたそうですね。そんな木村さんが考えるマーケティングの定義を教えてください。

ノバセル 代表取締役社長 兼 ラクスル 取締役CMO 田部正樹氏
ノバセル 代表取締役社長 兼 ラクスル 取締役CMO 田部正樹氏

木村:「売上と利益を上げるために、最初に考えるべき根本的な戦略」と定義しています。ブランドは中長期で考えられることが多いですが、営業の現場では単年のPLが課されるものです。今なら2023年の数字を上げてなんぼで「個々の数字の積み重ねがあるからブランドが末永く続いていく」という発想を営業時代に叩き込まれました。

Brandism 代表取締役 木村元氏
Brandism 代表取締役 木村元氏

田部:利益を出すためには、売上を上げたりコストを下げたり様々な選択肢があります。利益を出せている企業とそうでない企業の差はどこにあると思いますか。

木村:業界にもよりますが、うまくいかない企業には主に二つのパターンがあると思っています。一つは何かを守り続けることにとらわれているパターン。たとえばテレビCMを例に挙げると、作品としての完成度が高くブランドイメージは担保されているものの「何のために流しているCMなのか」が失われているパターンです。

 もう一つは知識や経験の浅さゆえに施策が単発で終わってしまい、一貫性がないパターン。中長期の戦略がないため、足元の売上と利益のバランスが取れません。

田部:それらのパターンから抜け出すためにはどうすれば良いのでしょうか。

木村:私が重視しているのはSTP分析です。お客様の解像度を高め、自分たちのプロダクトやサービスを正しく伝えるための根本的な手法だと考えています。

自社都合のポジショニングになっていないか

木村:最も大切にしているのはS(セグメンテーション)の切り方です。デモグラのように画一的で表面的なものより、お客様のニーズでセグメントを切ったり、別の商品を使っている場合はどう使っているのかを見たりするなど、レイヤーを深いところで分けるようにすると解像度が上がると感じています。

田部:購入金額などの数字で切るのではなく、その背景にあるインサイトまで理解してセグメンテーションする必要があると。

木村:そうですね。定量的に分析しつつ、得られたデータをインサイトの解析やコンセプトなどのアウトプットへ活かすよう意識しています。

田部:狙いたい市場のセグメントと既存顧客のセグメントをどのような順番で分析しているのでしょうか。

木村:クライアントニーズやシチュエーションによりますが、私の場合は自社ではなく外側から分析していくことが多いです。一人でも多くの方に新規顧客となっていただくために行っています。

田部:STPのP(ポジショニング)についてもうかがいたいです。「ターゲットがあって売るものを明確にしてWHO/WHATがあれば良い」という考え方もある中、木村さんはポジショニングの重要性をどのように捉えているのでしょうか。

木村:ポジショニングは技術を要する非常に難しい工程です。よくあるポジショニングマップを使おうにも「そもそもどの軸で切るか」「粒度はどうするか」などの問題が出てきます。自社都合のポジショニングをした結果「ホワイトスペースにあるように見えて差別化ができていない」という事態に陥るケースもありますよね。

 難しい工程ではありますが「どこと差別化するか」「差別化するために何をするか」を考えるのがマーケティングの仕事です。広告会社に丸投げするのではなく、事業会社がメディアプランニングやコミュニケーションの方向性を定義した上で、その先のクリエイティブ制作を広告会社と協力して進めていくほうが良いと思います。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
STP分析ではスイートスポットを探す

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
ノバセル田部正樹の事業を成長させる“商売視点でのマーケティング”とは連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/08/24 12:21 https://markezine.jp/article/detail/42838

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング