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反応率は約3倍、「初担当でも高品質なメルマガ作成」を実現したパーソル総合研究所のChatGPT活用


 パーソル総合研究所はセミナー集客メルマガの作成にChatGPTを活用しています。作業工数自体は増えたものの、メルマガ業務未経験のスタッフが作成したメルマガのクリック率はChatGPT活用前の約3倍を維持しているそうです。生成系AI活用を模索する同社の中村氏・山田氏・山本氏および、同社を支援するウィットの渥美氏に取り組みの概要や生成系AI活用の考えを取材しました。

「ChatGPTは何かできそう」から始まったプロジェクト

――まずは皆さんの担当業務などを教えていただけますか

中村:パーソル総合研究所はパーソルグループのシンクタンクです。調査・研究の結果から得た示唆や、アカデミアからの情報をもとに組織や人事のコンサルティングですとか、人材開発や組織開発、タレントマネジメントなどのサービスを提供しています。

株式会社パーソル総合研究所 総合マーケティング部 マーケティングセールスグループ 上級エキスパート 中村 舞衣子氏
株式会社パーソル総合研究所 総合マーケティング部 マーケティングセールスグループ 上級エキスパート 中村 舞衣子氏

 私達が所属する総合マーケティング部はブランディング・マーケティング・セールスの3つの機能を担っています。その中でマーケティングセールスチームは、新しいお客様作りを担当しています。具体的にはプロモーションやメールマーケティング、自社サイトなどの接点を通したリード創出からインサイドセールによる顧客対応を行っています。特に私と山本さんはマーケティングサイドとして集客施策を担当し、山田さんは問い合わせのあったお客様をフォローし、案件化して営業につなぐインサイドセールスを担当しています。

渥美:ウィットはWebマーケティングの支援を様々な会社様に提供し、成果が出るまで伴走することをモットーとしています。パーソル総合研究所さんとはWebマーケティングの支援や書籍の共著をさせていただいた経験がありました。

――今回、両社でChatGPTの活用を進められた背景はどのようなものですか?

渥美:ChatGPTがBtoBマーケティングの多様なフェーズに使えそうだと思い、自社で試していました。他社の実務でも試験的に活用することで見えてくるものがあると考え、2023年の4月中旬に数社にお声掛けをした中の1社がパーソル総合研究所さんでした。

株式会社ウィット 代表取締役 渥美 英紀氏
株式会社ウィット 代表取締役 渥美 英紀氏

中村:弊社でも4月頃からChatGPTが話題になっていました。私達はもちろん、お客様の働き方が変わっていくのではないかという危機感があり、議論が始まっていたのです。そのタイミングで「ChatGPTで何ができるかわからないけど、可能性を感じるので一緒に試しませんか」と渥美さんから連絡をいただきました。

渥美:その後、御社の複数部署にChatGPTの説明をして、中村さんのチームが深掘りを担当する流れでしたね。

中村:はい。ですから、明確に達成したい目的があるというより、ChatGPTという無視できない存在の使い方・活用方法を考えるという大きいテーマで開始した取り組みでした。

ChatGPTに使っていい情報は何か?の検討から

渥美:まずはセミナー集客を目的にしたメールマガジン(以下、メルマガ)の制作業務にChatGPTを活用することになりました。本当にChatGPTを活用しようとすると、自社の業務の分析と、ChatGPTが何をどこまでできるかの両方の理解が必要です。そこで、まずは弊社がメルマガの業務プロセスを棚卸して、どのステップでどのようなプロンプトを使えるか提案しました。

 集客メルマガの業務プロセスは次の7つのステップに分解できます。

  1. 元ネタテーマ作成
  2. メルマガタイトル・本文作成
  3. バリエーション展開
  4. ツール設定
  5. データ分析・報告
  6. 申し込み対応
  7. 受講後対応

 各ステップの状況をヒアリングして、課題をピックアップして、ChatGPTが活躍できそうなアイデアを出し、プロンプトを提案しました。実際にプロンプトを使ってみて、フィットするように直してという試行を1ヵ月半ほど重ねています。試したプロンプトは10以上でしょうか。パーソル総合研究所さんはメルマガタイトル案や本文の作成にChatGPTを活用しています。

――そもそも、なぜ集客メルマガの業務でChatGPTを活用しようと考えたのですか?

中村:最初に社内でChatGPTに使っていい情報は何か?をディスカッションしました。当然、個人情報と機密情報は避けるべきですが、他には何があるか検討した結果、セミナー集客のメール文ならば大丈夫だろうとの結論に至りました。

 元々が外部に公開している内容ですし、個人情報も入っていません。集客メールはお客様に情報がきちんと届くことが重要なので、ChatGPTが得意としている文章生成を組み合わせた改善が適しているのではないかと考えたのです。検討の過程で、業務全体の中で特にどこでChatGPTを活用できるか渥美さんに可視化してもらえたため、チーム全体で納得した上で進めることができました。

申し分ないセミナー情報を魅力的なメルマガのタイトルに

――具体的にどのようなプロンプトを作っていったのでしょうか?

渥美:まずはメールの件名ですね。ヒアリングをすると、これまでメルマガの元原稿はセミナー企画者が作成しているとのことでした。原稿に含まれる講師や数字といった情報のクオリティは申し分ありませんが、それが人を惹きつけるタイトルや本文であるかは別の問題です。講座に対して様々な訴求点の切り口でメルマガのタイトルを考えるプロンプトを試すところから始めました。

プロンプト例

 上記のような講座があります。以下のすべての切り口でメールマガジンの件名を考えて下さい。

 メリット訴求:顧客が得られるメリットを入れる

 価格訴求:コストパフォーマンスの良さを入れる

 課題訴求:課題を訴える

 声訴求:実際のお客様の声を活用する

 権威訴求:権威のある情報を入れる

 数字訴求:数字を使う

 疑問形式:疑問形で顧客を惹きつける

 共感形式:顧客に共感を促す

 クイズ形式:クイズを出題する

 プロンプトは本文の作成でも同様に使っていただいています。現在、セミナーによっては8割~9割そのまま使えそうな文章が出るプロンプトになってきています。どんなセミナーでもある程度の文章が出るようにプロンプトをさらに磨いているところです。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/08 08:49 https://markezine.jp/article/detail/42891

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