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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

Z世代×企業で語り合うサステナビリティと次世代のコミュニケーション

企業のSDGs活動による消費や採用への影響は?——りそなHDとZ世代の鼎談【後編】

若年層からも問題視される「企業の過度な利益追求」

江藤:エシカル消費について、意見が二つあります。ファストファッションブランドは、学生でも買えるような金額価格を設定していますよね。個人的な意見ですが、基本的に質と価格は比例しているので、なかにはあまり品質が良いとはいえず、気に入って着てもワンシーズンでくたびれてしまう商品もあると思います。私にとってファストファッション企業は、ずっと使えるように環境に配慮した商品を作るよりも、やはり企業の利益追求が第一になっているのではないかという印象があります。

 もう一つは、低価格を維持するために、特定の民族に強制労働を強いているなど労働力を搾取しているブランドがあること。私も詳しくは知らないのでこれ以上のコメントは控えますが、幼い子どもも労働力として酷使するということも報告されているようで、そこまでして低価格な衣類を販売する企業はどうなのかと思います。

児童労働のイメージ
©Luo Ivankbo – stock.adobe.com

──おっしゃるように、ファストファッション業界の裏で児童労働や搾取の問題が取り沙汰されていますね。先ほどの吉本さんの話にあるように、経済発展していくなかで、自国よりまだ経済的に発展していない地域に製造拠点を作り、コストを抑えて安くするという時代がありました。しかし世界的に経済状態が上がっていくなかで、そういう地域はこれからなくなっていくと思われます。その時、低価格だけを謳っている企業がどうなるのかという問題が出てくるかもしれません。

いま考えるべき「売上の向上と社会環境の改善が比例する」ビジネスモデル

服部:私からも一つ質問があります。先ほど吉本さんから「経済発展が進み過ぎて社会格差が生まれる」というお話がありましたが、私も最近日本史の授業で、第9代と第10代将軍の老中だった田沼意次が幕益追求のために功利的経済政策を推進し、格差を拡大させたと先生から聞きました。

 吉本さんは銀行の方として経済にも詳しいと思いますので、経済が拡大しながらも格差を生まないようになる発展の仕方があるのであれば、おわかりになる範囲で教えていただければと思います。

吉本:田沼意次ですか、懐かしいですね。個人的な想いや今日の感想も交えながらですが、私の考えをお話しします。

 今後企業がどうなっていくかはわかりませんが、今日のディスカッションを通じて、「企業の売上が上がれば上がるほど、利益が上がれば上がるほど環境も社会も良くなっていく、そういう会社にならないといけないのではないかな」ということを強く思いました

 「流行だからカーボンニュートラルといっているだけではないか」というご意見もありましたが、もしも「売上が上がれば上がるほど環境が良くなる」のであれば、当たり前にカーボンニュートラルに取り組む企業も増えると思います。

 社会格差は社会不安をもたらします。人類の歴史を紐解くと、社会格差が拡大したゆえに社会不安を起こして革命が起こった例がいくつもありますし、人類はそれを繰り返してきました。そうではなく、格差を解消してみんなが豊かさを分かち合える社会はどうすればできるのか、経済でいえば「どういう経済が回っている状態なのか」を考えていくことが必要なんだと思います。

 自分の会社の売上が上がれば上がるほど社会にも環境にも良いというビジネスモデルは何なのか。ジェンダーの格差にしても、「経営層の3割を女性にしなさい」と国がいっているから従うのではなく、自分たちのビジネスが社会やジェンダーの格差解消にどういうインパクトを与えられるのか。こういうことを考える世の中になっていくと思います。

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ジェンダー格差が生まれる原因と企業構造の関連性

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

ひろもり(ヒロモリ)

某企業マーケティング系部署で主にデジタル系プランニングを担当した後、現在はCSR系部署に在籍中。ご連絡はこちらから。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/43018

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