スポーツの観戦体験を損なわない新しい広告
佐々(Adjust):CTV広告の特徴を活かし、ABEMAでは新しい広告商品を開発されたそうですね。
綾瀬(ABEMA):2023年春に国内OTT市場初となるスプリットスクリーン型の広告商品「ABEMA Live Screen Ad」の提供を開始しました。これは、スポーツライブ放送中に画面を分割し、インプレー中にCMを表示することができる枠です。
綾瀬(ABEMA):ABEMA Live Screen Adの特徴は、視聴率とコンテンツファンに対するリーチ力の高さにあります。イニング間など試合のブレイク時に配信画面を切り替えて表示するインストリーム型のコマーシャルブレイクと、ABEMA Live Screen AdでCMのリーチを比較しました。その結果、前者のリーチは8割程度だったのに対し、後者はほぼすべての視聴者にリーチすることができていたのです。
また、広告表示中に投稿されるコメントを分析した結果、ポジティブ&ニュートラルが94%を占めていました。そのうち83%は商材や内容について言及したコメントで、広告のアテンションや視認性の高さがうかがえます。
矢部(TVer):TVerの調査でも、CTV広告が認知度・購買意向に与える影響は見て取れました。対象を「全体」「スマートデバイス/PC」「CTV」の3グループに分けたリフトアップ比較では、CTV広告視聴者の購買意向が最も高かったです。やはり大画面で訴求できる点が効いているのだと思います。
おすすめの計測指標は「アシスト効果」
佐々(Adjust):ここで私からCTV広告の計測・分析手法について説明させてください。Adjustが提供しているCTV広告の計測ソリューションについて「どのように計測しているのか」とよく聞かれるため、仕組みをお伝えしたいと思います。
佐々(Adjust):行っているのはクロスデバイス計測(IPアドレスなどによる確率的モデリング)です。CTVに広告を配信する際に取得できるIPアドレスと、CTV広告を視聴したユーザーが手元のスマホでアプリをインストールした際のIPアドレスを突合する仕組みです。
CTV広告を出稿する際は、他のキャンペーンに対する「アシスト力」を評価指標に設定することをおすすめします。CTVは高いリーチ力を持つ媒体です。我々のようにモバイルアプリの計測ツールを扱うベンダーは、基本的にコンバージョンに最も近いラスト接触を以て「コンバージョンへの貢献」と見なしますが、実はラスト接触の前に多くのユーザーがCTV広告に触れているのです。CTV広告がキャンペーンパフォーマンス全体に与える影響を可視化し、「コンバーションをいかにアシストしているか」という観点で分析する必要性はこの点にあります。
Adjustでは「アシストあり/なしのコンバージョン比率と推移」「CTV広告から他媒体へのアシスト」などを可視化します。CTVに広告を出稿する企業の皆様には、ぜひこのアシスト効果分析機能を活用いただきたいです。