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実践企業に聞く!経済価値と社会的価値の両立

学生アスリートの約3分の1が将来に不安、元アメフト選手が行う「競技への集中」と「キャリア支援」の両立

スポーツで培った力は、ビジネスでも活かせる

菅原:私も学生時代からバスケットボールをしているので、スポーツで培った力がビジネスにも転用できることは実感しています。

白木:そうなんですよね。私自身も普段から実感しています。私は普段コンサル会社に勤務しているのですが、プロジェクトワークは基本的にチームスポーツに似ていると思います。目標のためにメンバーがそれぞれの役割を全うする点は同じですよね。

 また、スポーツは目標を設定して練習を重ねて、達成することの連続です。そのマインドや考え方は社会に出ても活きるはずなんです。そこに学生のみなさんが気づけば、自信につながると考えています。

 実際プログラムを受講した学生たちからは「スポーツにおける目標へのアプローチと、社会で活躍するためのアプローチは似ていると思った」といった振り返りをもらっています。

菅原:学生さんたちにとっては、目の前のスポーツに打ち込みながら、将来のキャリアも考えられるようになっていくんですね。今の自分と将来の自分が、ぼんやりかもしれませんが、地続きになっていく感覚なのでしょうね。

白木:今すぐ引退後のキャリアのことや目標を見つけようとは伝えません。競技にとことん向き合いながら、頭の片隅に「今競技を通じて身につけているスキルや考え方は、必ず引退後のキャリアに活かせるんだ」ということを置いていてほしいと伝えています。

 私自身がそうだったように、勉強は何歳になっても始められます。でも、現役選手として活動できる期間は限られています。だからこそ今頑張っている競技を自分が納得するまで続けてほしいんです。

菅原:Shape the Dreamは白木さんをはじめ、講師の方々も一流の現役・元アスリートの方々ですよね。ある意味で、Shape the Dreamの活動そのものがアスリートのキャリア形成のひとつのモデルケースになっていると感じます。

講師をする女性の画像です

Shape the Dreamの活動が共感を集める理由

菅原:現在、Shape the Dreamは各地の様々な高校や大学で多くの学生アスリートを支援しています。ビジネススクールでの発案から、ここまで活動を広げてくることができた原動力はどこにあると思いますか?

白木:共感力だと思います。学生アスリートのキャリア支援に共感し、そして仲間になってくれる人がいたことが大きいと考えています。0→1ができるファーストペンギンが重視される傾向がありますが、そこから10、100にしているのは続いて参加してくれたメンバーたちです。

菅原:少し深掘りさせていただくと、その共感は白木さん自身の原体験から生まれたものだと思いますが、もしかしたら既に他の誰かも同じような課題感を抱いていた可能性もありますよね。その中で白木さんが共感を集め、活動を広げてこられたのは何故でしょうか?

白木:Shape the DreamはNPO法人であり、営利を超えたチームであることが大きいと思います。メンバーは他に本業を持った上で活動しています。そのため「このようなプログラムを提供するので、これだけのお金をいただきたいです」といった説明は、どの学校に対しても行っていません。

 各校の課題をヒアリングして作ったプログラムをまずは無償で提供し、価値を見出していただいた上で料金の判断をお願いしています。

菅原:そして、実際に価値を感じて皆さんが継続して、しっかり対価を支払ってくださる関係になっているんですね。活動が広がった理由として、各校の実態に即したプログラムを提供していることも挙げられるのでしょうか。

白木:そうですね。まず各校の先生や職員の方と「学生がその学校を卒業したらどのような社会人になってほしいか」話し合った上で、その実現に向けたプログラムをみんなで造っていくイメージです。「Shape=形創る」を意味するように、パッケージでの提供はしていませんし、一方的に何かを伝えるセミナーのような形式ではなく、ワークショップ形式を採用しています。

ワークショップの画像です

 たとえば、日本体育大学では、課題として学生さんたちの自信のなさが挙げられました。幼少期からスポーツをやってきたことから「スポーツ以外で活躍できる自信がない」人が多いのではないか、と。加えて多くの学生が進路として志望する体育教師という職種は、少子高齢化の影響を受けて狭き門になってきています。そのため学校側も学生さんたちに早い段階から様々なキャリアの選択肢があることを伝えたいと考えていました。

菅原:実際にワークショップを実施してみて、反応はいかがですか?

白木:評判が良いのは、同じようにスポーツに打ち込んでいた卒業生を招く回ですね。30~40代で経営者のOB・OGが「私もみんなと一緒だった。でもあのとき4年間頑張ったから、今こうして起業することができた」と話している姿が、学生たちの自信につながるようです。

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早い段階から、外の世界に触れることが大切

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この記事の著者

菅原 賢一(スガワラ ケンイチ)

 株式会社パブリックグッド 代表取締役
1975年岩手県生まれ。プラップジャパン、インテグレートを経て、2013年にソーシャルマーケティングを手掛ける株式会社パブリックグッド設立。日本PR協会主催PRアワードグランプリ「ソーシャルグッド部門」にて2020年ブロンズ、2021年シルバー受賞。
2023年、事業活動...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/25 08:57 https://markezine.jp/article/detail/43419

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