早い段階から、外の世界に触れることが大切
菅原:先ほど、学生時代は競技に打ち込みつつ、スポーツで培った力はビジネスでも活かせると自信を持っておくことが大切と説明されていました。そして白木さんは実際に選手としても結果を出し、引退後もこうしてNPO法人を立ち上げるなどビジネスパーソンとして活躍されています。実現するために必要なことは何だと思いますか?
白木:たくさんの機会に触れることではないでしょうか。私自身そうだったのですが、運動部に入っていると、どうしても家と学校の往復、しかも一緒にいるのは部活仲間だけになってしまうものです。
そのため、学生たちにはまずは運動部に入っていない友人を作り、話してみようと勧めています。運動部でない学生の中には、早い段階から就職活動に注力する人も多くいます。その人たちの考え方に触れてみれば、視野が広がると思います。運動部同士でも、違う部の友人と話すと気づくことがあるはずです。

菅原:自分とはまったく異なる世界の人と話すことで視野を広げるのですね。これも、社会に出てからも役立つ考え方ですね。
白木:加えて、学校側ともキャリア支援はなるべく早い段階から実施するほうがいいと話をしています。実際に複数の大学とは既に、入学前にスポーツ推薦枠で合格した学生にウォームアッププログラムを実施し、現役生を呼んで交流する機会を作っています。皆さん、勉強と部活の両立の仕方などをどんどん質問して、入学前の不安を解消している様子がうかがえました。
実は経済価値と社会価値は地続きになっている
菅原:今回の企画では、インタビューテーマのひとつに経済価値と社会価値の両立を挙げています。NPO法人であるShape the Dreamの活動にそのまま当てはめることは難しいと思いますが、白木さんとしては経済価値と社会価値を両立するには、どうすれば良いと思いますか?

白木:おっしゃる通りShape the DreamはNPO法人であるため、経済価値に結びつけて考えることは難しいと思いつつ、一概にまったく関係ないとも言えないと考えています。
社会価値を生み出すために集まってきた方々は共感者という共通点を持ちながらバックグラウンドは様々です。出会いの中で新たなビジネスやコミュニティができることも珍しくありません。
また、活動の仕方に関しても、本業として専念する人だけでなく、私たちのように本業とパラレルで進める人もいるなど、多様化しつつあります。そう考えると、経済価値と社会価値は離れているようで、実は地続きだと思います。
菅原:今回改めて話を伺って、白木さんがアスリートの可能性を信じていることが伝わってきました。私自身も、腹落ちする部分が多かったです。本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
撮影協力:日本体育大学