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実践企業に聞く!経済価値と社会的価値の両立

なぜパタゴニアの発信と行動にはブレがないのか?レスポンシブル・カンパニーの哲学と仕組み

 生活者が企業の社会的価値をも重視し始めた今、企業には誠実な姿勢が一層求められている。誠実さを担保しつつ、経済価値と社会価値の創造を両立させるためにはどうすれば良いだろうか。本連載では、B Corp認証を取得したPR支援企業パブリックグッドの菅原賢一氏が企業成長の視点を持ちつつ、社会価値を創造するためのヒントを探るべく実践者に取材する。今回は、レスポンシブル・カンパニーとして知られるパタゴニアの篠氏にお話をうかがった。

環境問題に向き合うパタゴニア

菅原:本日のゲストは、パタゴニア日本支社の篠 健司さんです。パタゴニアさんはこの連載企画のテーマである「経済価値と社会価値の両立」という点で世界的なリーディングカンパニーです。

 篠さんは現在、環境・社会部門 ブランドレスポンシビリティ マネージャーを務められていらっしゃいますが、具体的にどのようなことをされているのでしょうか。

篠:まず組織について説明すると、環境・社会部門は3つのチームから成り立っています。1つ目はステークホルダーの方々と一緒に問題解決を目指すアクティビズムチーム、2つ目が、環境再生型農業の実践を日本で普及させることを目指すリジェネラティブ・オーガニックチーム。

 3つ目の私が所属しているブランドレスポンシビリティチームでは、パタゴニアが事業を展開する上で発生する環境、社会に対するネガティブな影響を最小にすることと、ポジティブな社会的インパクトを広げていくことの両方の取り組みを行っています。

パタゴニア日本支社 環境・社会部門 ブランドレスポンシビリティ マネージャー 篠 健司氏
パタゴニア日本支社 環境・社会部門 ブランドレスポンシビリティ マネージャー 篠 健司氏

マーケティングはストーリーテリングに注力

菅原:私自身、顧客としてパタゴニアさんに触れる機会がありますが、店頭やWebサイト、アプリとあらゆる点で一切ブレがないと感じます。このようにあらゆる顧客接点でパタゴニアさんらしさを貫ける秘訣はなんでしょうか?

株式会社パブリックグッド 代表取締役 菅原 賢一氏
株式会社パブリックグッド 代表取締役 菅原 賢一氏

篠:すべての意思決定が「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」というミッションと、それをどのように実践するかを掲示したコアバリューに基づいて行われていることが大きいと思います。

 マーケティングではストーリーテリングに力を入れています。日本支社は今年で設立35周年を迎えたため、その間に蓄積されてきた様々な素晴らしい取り組みがあります。日本のローカルストーリーを伝えていきたいと考えています。

 「〇年までにこのようなことを達成します」と目標を立て、それにそってストーリーを伝えるアプローチではなく、私たちが実践してきたこと、英語でいうwalk the talkをお伝えすることを中心に置いています。そのような意味では、伝えていることと実践に乖離がないと思います。

菅原:「乖離がない」とは本当にその通りだと思います。

 ストーリーテリングの観点では、最近のマーケティングコミュニケーションは、短めのフレーズですぐに反応してもらうことが重視されていると感じます。そのような中でストーリーを丁寧に伝えていく姿はパタゴニアさんらしさだと感じます。

篠:そうですね、私たちはアウトドア製品を展開する会社ですから、基本的にはアウトドアパーソンに向けて使いやすいと思っていただけるデザインや機能を考えます。お客様に評価していただくことを前提として、環境に配慮した質の高い製品を作り、その背景を含めてお伝えしています。

 また、アンバサダープログラムを通して、各スポーツのカテゴリーで活躍されている方々に、製品はもちろん、環境問題や地域社会での活動の取り組みに共感していただいた上で、発信していただくことで、パタゴニアのブランド自体も一緒に高まってきたと考えています。

菅原:ストーリーを発信し、共感する人たちが仲間となり、その仲間がさらにその先に向けてストーリーを伝播してくださるんですね。

篠:実際、私たちのマーケティング予算の中に占める広告費の割合は非常に少ないんです。環境のための行動を促すような時には別として、いわゆる製品広告のためにマスメディアに広告を出すことはごく稀です。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/24 15:00 https://markezine.jp/article/detail/43661

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