水カンの詩羽を起用した「若松区役所プロジェクト」
次に、宍戸氏が好事例として挙げるのが、北九州市の若松区役所の動画コンテンツ事例だ。若松区は知名度において課題を感じており、同地区のシンボル「
宍戸氏らはまず町内視察を実施。その結果、感じたのは“人”の魅力だったという。
「若松区は非常に温かな雰囲気を持った港町であり、何より外から来た人たちに対しても明るく迎え入れてくれる町人の人柄に感動しました。その上、移住者が多く、子どもの数も多いため、私の目には『未来を感じる町』に映ったのです」(宍戸氏)
そこで、町人も巻き込んで、彼ら自身が町を自慢に思えるようになり、その結果、近隣住民にもその想いが伝播して「行ってみたい」と思ってもらえる動画を作ることにした。
施策は主に二つ。一つ目は、「水曜日のカンパネラ」の詩羽(うたは)を起用し、岩戸大橋や地元商店街の人たちが登場するミュージックビデオを撮影した。詩羽を起用した理由について、宍戸氏は「この町を知らない人物をあえて採用することで、『次世代』というキーワードの想起につなげたかった」と語る。さらに、彼女のファンダムによる“盛り上がり”も期待したという。
二つ目の施策では、より“町そのもの”にフォーカスを当てた。住民同士が町の未来を語り合うリアルイベントを開催し、そこに詩羽も参加。そのシーンをドキュメンタリーとして収めたのだ。
さらに、一つ目の施策のミュージックビデオに関しては、地元の若者たちが踊ってくれたり、SNSで拡散してくれたりしたという。そういった第三者を介した話題喚起の方法は、二つ目の施策にも踏襲された。プレスリリースの配信などにより、
成功の鍵は「中長期の視点」と「運用体制」
宍戸氏はこれらの事例の総括として、「今後のコンテンツマーケティングでは、ユーザーがより身近に感じ、共感できるコンテンツを作ることが重要だ」と改めて強調。そうしたコンテンツを作る上で押さえておきたいポイントがあるという。
一つ目が、中長期的な視点でコンテンツマーケティングの成果を捉えることだ。たとえば、単純な販促・刈り取り目的ではなくブランディング目的であれば、前述のRealStyle by Jeepのように、3年目でようやくコミュニティの活性化や他のブランドとのコラボなどに漕ぎ着けるのだ。
「それゆえ、3ヵ年をベースに目的整理・目標設定するのが理想です。可変的な外部環境で3ヵ年での目標設定が難しい場合でも、最低でも1~2年後を見据えて取り組むと良いでしょう」(宍戸氏)
また、宍戸氏は「闇雲に集客するような運営の仕方はNGだ」と警告。「集客したいユーザーは誰なのか、彼らにどんなアクションを起こしてもらいたいのか。そうした点を踏まえ、ユーザーとの関係作りを最重視してKPIは設定してもらいたい。そのためには、まず『最適なユーザーを捉えること』から始めると良い」と宍戸氏は語る。
最後に、宍戸氏は運用体制についても言及。次の2点が重要だという。
1.年間を通して同じチームでPDCAを回せること
2.外部パートナーも統括した上で、クリエイティブ監修などが行えること
「1.については、同じチームでアクセス解析や結果の考察、それを踏まえた上でのチューニングをクイックに行うことが大切です。その結果、ユーザーエンゲージメントの向上などの成果が得られるのです。また、ライターやカメラマンなど、外部に一部業務を委託する必要もあるでしょうが、その場合でも、彼らを統括して、クリエイティブの質を担保できる体制構築が肝要です」(宍戸氏)
そうした、運用体制の整備もQeticであれば可能、ということだ。
「当社では、企業様のコンテンツマーケティングの現状を診断するサービスも提供しています。『コンテンツマーケティングをどのように始めれば良いのか』とお悩みの方から、既にオウンドメディアを運営しており『改善余地はあるのかを知りたい』という方まで、ぜひお問い合わせください」(宍戸氏)