フォロワー数ではなくエンゲージメントが重要に
現代のメディアやコンテンツは分散化と多様化が進んでおり、BtoC企業が消費者の心を掴むのは一層困難を極める状況だ。そんな中、現代のコンテンツマーケティングの潮流とは。Qetic創業者の宍戸氏が解説する。
宍戸氏によると「ショート動画」と「インフルエンサー・アンバサダー活用」がコンテンツマーケティングのグローバルトレンドだといい、さらに、SNSと親和性の高いコンテンツが引き続きマーケティングには有効だという。さらに、宍戸氏は「加えて、重視されるのは『ユーザーにとってより身近で、共感を生むコンテンツ』だ」と補足する。
たとえば、アドビのオウンドメディア「Adobe Experience Cloudブログ」では、「(これからのコンテンツマーケティングでは)文脈、感情、共感を大切にしてください。それが本当の“つながり”を築く鍵です」と指摘しているという。
また、「カンヌライオンズ2023」においても、ユーザーエンゲージメントとストーリー性のあるコンテンツの重要性が強調されていたと宍戸氏。「フォロワー数の多さなどではなく、いかにユーザーに選ばれるコンテンツを生み出せるか──複数のセッション登壇者が共通してこのように指摘していた。特に『エンゲージメント』というキーワードは頻出ワードだった」とのこと。実際に、そうしたコンテンツが賞を受賞していたという。
コンテンツ配信の最適な場=「オウンドメディア」
さらに、宍戸氏はコンテンツマーケティングの潮目を大きく変える二つのできごとを紹介。それが「生成AIの台頭」と「プラットフォームの変化」だ。
まず、生成AIによりコンテンツ制作の業務負担は軽減する一方、内容の均質化が予想される。その結果、SEO戦略も変わってくるとのこと。重要となるのは、無暗に検索結果の上位を目指すのではなく、「ユーザーの課題解決につながる丁寧なコンテンツ作り」だという。
プラットフォームの変化については、新しいプラットフォームの台頭や、既存プラットフォームのマイナーアップデートなど、変化の激しい状態は今後も続くと予想。そこで「単一のプラットフォームへの依存は避け、コンテンツ配信に“最適な場所”を模索するべき」と宍戸氏は主張する。
その場所としてお勧めなのが「オウンドメディア」だという。オウンドメディアでは、安定的にコンテンツを作成し、かつ多角的に配信していけるのだという。なお、これまでは「オウンドメディア=単なる、SEOのための集客ツール」という声もあったというが、今のオウンドメディアはそれに留まらないという。
今コンテンツは様々なSNS・プラットフォームに配信されており、各媒体でコンテンツを作成・運用するのは工数がかかる。その点、一つのオウンドメディアでコンテンツを作成・公開し、
さらに、複数のSNS・プラットフォームに広げられる、この“拡張性”がオウンドメディアの大きな利点だという。オウンドメディアがコンテンツ制作・配信機能の主軸を担う。そこを基点に、SNS以外にも、
さらに、オンラインのみならず、店舗と連携して、オウンドメディアのコンテンツを活用した体験イベントを企画したり、外部メディアからのパブリシティ獲得もオウンドメディアがあればコンテンツをそのまま使えたりする。「オウンドメディアがあれば、様々な媒体との連携を図れるようになる」と宍戸氏は語る。