どのようなユーザーが移行検証を行ったのか
ここからは、Xと併用してThreadsを使い始めたのはどんな人々なのかを調査してみます。Xユーザーの中でも特にThreadsを使い始めた人々はどんな特徴を持つのかを解明するため、X全体のユーザー属性と比較を行います。
まずは、7/3週の性年齢の構成比を抽出します。次に同じように、居住地域、SGPでも比較を行います。SGP(Segment Guide Program)は、マクロミル独自基準でモニターを商品・サービスに対するスタンスで分類したものです。
性年齢の構成比を見ると、Xユーザーも併用ユーザーも20代が中心で、併用ユーザーは10代が顕著に多く、女性よりも男性のほうが若干多いことがわかります。エリア別では、南関東で併用ユーザーがわずかに高いものの、地域差はほぼありません。SGPでは、併用ユーザーはトレンドに敏感な傾向ですが、「積極的な情報創造者」や「情報遅延者」が多くないことから、Threadsが一般層に広がり、一気にメジャーアプリに躍り出たと捉えることができます。
併用しつつもThreadsに定着したユーザーはどんな人か見るために、8/14週のX(旧Twitter)ユーザーと併用ユーザーの構造比較も行います。
性年齢に絞って見てみると、7/3週と同様に10代の併用率が顕著に高く、使い続けていることが分かります。男性20代はXとの併用をやめてしまったのに対し、女性20代は併用を続けている傾向が高いようです。女性20代の特性なのか、Threadsに定着を促すようなコンテンツがあるのかは興味深く、さらに探求してみると面白そうなポイントが見つかるかもしれません。
まとめ
Xの仕様変更によって離脱したユーザーは、離脱率を週ごとに見た結果、標準偏差以内の変動しかなく、ほぼいないと解釈ができ、ユーザー影響の大きかった3月や7月の仕様変更時もほぼ影響はありませんでした。
他のSNSへの移行は、X(旧Twitter)のユーザー規模に比べれば微量ながら、Mastodonは7月には使用率が0.05%から0.19%まで上昇、Meta社のThreadsはリリースした週で5.2%の使用率を獲得しました。Threadsは88.1%がXと併用しており、その後にユーザー数の減少は起こったものの、8割近いユーザーが定着していました。
この結果は筆者にとって「この時代にまだ新しいコミュニティが生まれるのか」という嬉しい驚きでした。周囲のThreads使用者に話を聞くと、「Twitterで顔を知られ、様々な人とつながりすぎたせいで、肩書に沿った発言しかできなくなった人が、Threadsでは肩書に縛られずに自由に話をしている」といった意見が複数ありました。
Xの代わりではなく、Xとは異なるThreads独自のカルチャーが形成されてきているようです。引き続きXやThreadsの動向には注視していくことが必要そうです。
【A-cube(アプリログデータ)調査概要】
調査方法:スマートデバイスのアプリケーション利用ログを収集
調査期間:2023年1月~2023年8月
調査対象:Androidデバイスを保有する全国15~69歳の男女
最大サンプル数:n=41,342(※各月変動)
「A-cube」詳細サイト
- 本文の数値はマクロミルが独自に推計したスマートデバイス・インターネット利用人口にウエイトバック処理を行っています。
- 本文の数値は四捨五入した値を表記しています。
- 百分率表示は四捨五入した値のため合計が100%とならない場合があります。
