MMMで分析している6つの対象
続いて南雲氏は、KANDOドリブンマーケティングでどのようにMMMが組み込まれているかを紹介した。
まず、丸亀製麵が現在までに見つけている自社の勝ち筋は、「ブランドに対する理解、好意度、共感度が高まっている状態を作ること」だ。この状態を作った上で、商品のプロモーションを行うと、コンバージョンが最大化することがデータからわかっている。つまり、ブランディング×プロモーションのハイブリッドな戦い方が、短期の売上向上に最も効率がよい。

このうち、ブランディングはMMMだけでは可視化が十分とは言えない。そのため、ブランドのあらゆる指標やイメージをトラッキングするBrand Awareness Tracking データを用いて、ブランド力が右肩上がりになっていくような戦略と戦術を導き出す。もう片方のプロモーションについては、購買データと行動データ、MMMを中心に現状把握から分析、戦略/戦術への落とし込みが可能だ。四半期ごと・半期・通期でマーケティング投資の費用対効果を検証し、予算の配分および再配分のシミュレーションにもMMMを活用していると南雲氏は明かす。
これを施策レベルでかみ砕くと、まずブランドの売上のベースは、ブランド力によって決まる。ここに期間限定のフェア商品(プロモーション商品)を加えて、売上の山を作っていくのが丸亀製麺の勝ち筋。フェア商品は1年に8回、1.5ヵ月ごとに食べたい衝動を最大化し、客数を伸ばすことを目的に実施しており、フェア商品が終わった後の2週間でMMMを中心に費用対効果を検証。次のフェア商品に繋げていくという高速PDCAを回している。
丸亀製麺がMMMを活用している6つの対象
1.マーケティング投資の効果可視化と検証(四半期、半期、通期)
2.マーケティング予算の最適配分シミュレーション
3.キャンペーン(フェア商品)の分析(1.5ヵ月毎)
4.プレバズ分析(フェア商品の開始前・直後)
5.マーケティング戦略マネジメントモデルの分析
6.ストアマネジメントモデルの分析(立地×パフォーマンス×エンゲージメント×ブランド力)
プロモーションとひとことで言っても、丸亀製麺の場合、テレビからデジタル、SNSまで幅広く展開しているが、たとえばテレビCMの効果検証をMMMで行う場合、1GRPで何人の顧客を獲得できたのか、それにより売上がいくら増加したのかはもちろん、どのテレビCMがどのくらい顧客を獲得したのかも比較できるようになっている。同様の項目を、ウェブ広告と各種SNS広告で比較し、費用対効果の細かな分析も行っているそうだ。
丸亀製麺のマーケティングモデルを簡略化すると、以下のようになる。

新規とリピーター層のキーサクセスファクターは何か、どういうブランドイメージを上げたら数値が増えるか、顧客体験価値をどう体験をプラスすると何が上がるかなど、要素を分けて、各ファクターの成果への貢献値を測っている。