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最初はCVの意味もわからなかった 1883年誕生の老舗ブランド「iwaki」が語るEC運営の舞台裏

 国内のBtoC-EC化率は年々上昇し、経済産業省の最新調査によると、2022年は9.13%を記録。この数年でEC事業に参入した企業も多いだろう。主に耐熱ガラス容器を扱う「iwaki」も、2020年に自社ECサイトを立ち上げた。しかし、専門用語の理解から始めるなど、本格的なEC運営へのハードルは低くなかったという。iwaki を運営するAGCテクノグラス株式会社 コンシューマ本部 営業部 ハウスウエア営業グループ チーフマネージャー 野村考弘氏、AGC株式会社 デジタル&イノベーション推進部 マネージャー 田家敦史氏、同ブランドのEC運営を支援している株式会社エートゥジェイ 統括マーケティング責任者 座間保氏に、自社ECサイト立ち上げの裏側と運営の現場について話を聞いた。

140年の歴史を持つiwakiがECビジネスへ挑戦

 「iwaki」は1883年、日本初の民間ガラス工場として誕生した。特殊ガラス事業を手掛けるAGCテクノグラス株式会社の運営のもと、耐熱ガラス容器を中心に販売している。建築・自動車ガラスや化学品素材などを扱うBtoB事業が中心のAGCグループには珍しい、BtoC向けのハウスウエアブランドだ。

 iwakiがオンライン上で商品の販売を始めたのは2011年頃。当時は楽天市場などの大手ECモールに出店していたが、メインの販路は百貨店をはじめとしたオフラインチャネルだった。ブランドサイトは存在していたものの、購入導線が設けられていなかった。そのため、「オフラインでもオンラインでもお客様とのコミュニケーションがiwakiからの一方通行になっていた」と野村氏は明かす。

「ブランドサイトでは当社がお客様に伝えたい情報を一方的に伝えるだけでしたし、店頭でも商品を卸したあとのコミュニケーションに関わることはほとんどありませんでした。お客様と対話を通じて関係性を育む双方向のコミュニケーションの必要性に気づいたことが、自社ECサイトを立ち上げるに至った大きなきっかけです」(AGCテクノグラス・野村氏)

AGCテクノグラス株式会社 コンシューマ本部 営業部 ハウスウエア営業グループ チーフマネージャー 野村考弘氏
AGCテクノグラス株式会社 コンシューマ本部 営業部 ハウスウエア営業グループ チーフマネージャー 野村考弘氏

 こうした課題を解決するため、自社ECサイトの立ち上げを決めたiwaki。どのカートシステムを導入するか複数の選択肢がある中で、エートゥジェイが提供している「メルカート」を選んだ。

「iwakiの事業規模を考慮すると、フルスクラッチの高度なシステムは過剰です。一方、自ら手を加えなければならない低コストのシステムを使いこなせるほど、EC運営のスキルに自信がありませんでした。身の丈に合ったシステムを基準に候補を絞り込みましたが、最終的な決め手は、サービス担当者とのコミュニケーションと当社の高いセキュリティ基準をクリアできる安全性です。特にコミュニケーションにおいては、専門用語を使わず的確に説明してくれるなど、二人三脚でやっていける確信が持てました」(AGC・田家氏)

AGC株式会社 デジタル&イノベーション推進部 マネージャー 田家敦史氏
AGC株式会社 デジタル&イノベーション推進部 マネージャー 田家敦史氏

 自社ECサイトの立ち上げに乗り出すまで、iwakiは売上以外のデータ分析などをほとんど行ってこなかった。EC運営において重要となる専門用語なども、野村氏や田家氏をはじめとした各メンバーの理解が進んでいなかった。

 しかし、iwakiがEC運営に注力し始めた時期には、社内でもDXへの取り組みが進み始めていた。そのため、自社ECサイトの立ち上げにともない、売上だけでなくiwakiがどの程度認知されているのかなど、データを使った詳細な分析が求められたのだ。

 「eコマースにおいてよく使われる単語もわからない状態だったので、カートシステムを導入しただけで求められているレベルのEC運営ができるか不安だった」と野村氏は話す。

 そこで座間氏は、iwakiの自社ECサイト立ち上げとその後の運営を支援するにあたって、毎月定例会を実施。EC運営に必要な知識として用語集も作成し、「CVとは何か」といった基礎的な知識のインプットから始めた。また、初年度の売上予測を最初に数字で提示し、iwakiの自社ECサイトの可能性を可視化した。

「初年度の売上予測が高い数字だったので驚きましたが、初心者の我々を座間氏が引っ張ってくれました」(AGC・田家氏)

 結果的に、iwakiが立ち上げた自社ECサイトは、当初座間氏が提示していた売上規模に成長。立ち上げから1年で、iwakiが元々運営していたブランドサイトの約25倍ものセッション数をたたき出した

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何人体制で運営すれば良いかわからないケースも

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この記事の著者

景山 真理(カゲヤマ マリ)

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、ウェブメディアや雑誌をはじめとする紙媒体のライティングの仕事をしています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、仕事・働きかた、デジタルトランスフォーメーションです。ウェブ●Mari Kageyama Writing Works

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社エートゥジェイ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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2023/10/05 11:00 https://markezine.jp/article/detail/43665

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