社名を知ってもらうことは社員にとって大きな意味がある
MZ:提案を通して、三井化学様はどのように思いましたか。
緒方:最初の時点でしっかりと企画が作り込まれていたので、私は非常にポジティブでした。提案いただいたくられ先生は漫画『Dr.STONE(集英社)』で化学を監修している方だと知っていましたし、この方と一緒にイベントに出ることでいいアピールができそうだと感じました。
緒方:やはりBtoC企業に比べると知名度が低いことは、そこで働く人間として私も歯がゆい部分はありましたし、近い年代の人も少し寂しさのようなものは持っていました。それが、有名な方と共演することで社員のモチベーションが上がればいいなとも感じました。
実際、参加した若手の研究員にはかなり好評でした。学生時代にくられ先生をきっかけに理系を目指し、最終的に研究職に就いたというメンバーもいて、本人が喜んでいるのを見ると、やって良かったなと思いましたね。
大滝:初めて打ち合わせしたときに、その研究員の方が涙を流されていたのが印象的でした。
MZ:経営陣への説明は大変ではありませんでしたか。
西:当社らしからぬ新企画ですので、心配しましたが、社内の反応は思っていたより好意的でした。
まず、DX推進を行う役員や人事部長や、若年層の気持ちがわかる数名に先んじてこの話をしてみたところ、本企画を是非にと推すコメントを貰えました。
経営陣への説明は、本件が当社のアプローチできていない、今後の潜在的な購買層・採用層であるZ世代に向けた施策であること、また費用対効果でテレビCMより良いと考えていること、さらにBtoBのお堅いイメージの三井化学が出るからこそ違和感があって面白いというところは強調しました。
何より初年度の、2022年は当社の長期経営計画VISION2030の見直し始動の年であり、トップを含めて新しい取り組みを応援していたタイミングだったのも大きかったと思います。
MZ:具体的にどのように形にしていったのでしょうか。
大滝:初年度はゼロからのスタートだったので、三井化学の研究者、そして超アリエナイ理科ノ実験出演者の方にご調整いただいて、見せ方や内容を議論しました。化学は見せ方というか、エンタメ化するのが非常に難しいのです。「やわらかく面白くする」部分は、かなり話し合いました。
緒方:初年度はタイトなスケジュールだったので、当社の研究部門に協力をお願いし、研究員が短期間で何とか頑張ってくれて当日を迎えました。最後まで熱意を持ってやってくれたことが本当にありがたかったです。
熱気と盛況ぶりに経営陣も感動。社内でも好印象が作れた
MZ:取り組みの手ごたえを教えてください。
緒方:当社ブースには2日間で約2,000名が来場し、化学実験ショーのネットでの視聴者数は2日間合計で14.3万人と、想定以上の集客となりました。
来場者はくられ先生のファンの方も含めて、純粋に化学が好きな人が集まっています。ステージ上には大きく社名とロゴを掲示させたことで、その層に対して、当社のアピールができたと思いますし、後日SNSを見てみるとかなり話題になっており、「三井化学ってこんな技術を持ってるんだ」とか「面白い研究者がいる」とか、好意的に捉えてくださっている様子も見受けられたので、良かったと思います。
西:当社も10万人規模のイベントに参加するのは初めてであり、せひ経営陣も含めて多くの人に生で見てほしいと思いました。
そこで初年度はCFOをはじめ役員の皆さんを現場に招待しました。現場で視聴した役員は、当社ブースに多数のお客さんが押し寄せて凄い熱気だったこと、またそれだけの大観衆の前で、若手の研究員がくられ先生らと一緒に堂々と頑張っている姿に感動していました。ちなみに、社長も海外出張のフライト直前まで空港ラウンジで配信を見てくれたと聞いています。
社内アンケートでも、好意的な反応は多く、初回に参加していなかった若手研究者からは、「参加したかった」という声もありました。
大滝:超会議の後の来場者アンケートの「全体の中で一番面白かった企画」では、全体で約100企画ある中、6位に入りました。初年度、しかも初めて「理科」を扱った中では好成績ですし、2年目は4位に上がっていました。初めてで手探りでもありましたが、みんなから愛されるブースができたことは大成功と言えると思います。
MZ:2年連続で協賛されていらっしゃいますが、魅力を伺えますか。
西:BtoBの三井化学が出ることによる違和感が、当社のイメージ向上につながると面白いなと思っています。競合他社に先駆けて一歩踏み出したことは大きな価値があると感じています。