視聴者のエンゲージメントを“見える化”するには
動画のデータからエンゲージメントを計測するにはどうすべきなのだろうか。柏原氏は、ブライトコーブの動画プラットフォーム「Video Cloud」について解説。Analyticsデータからグラフでエンゲージメントを確認でき、コンテンツの性能把握に役立てることができる。
このグラフの横軸は時間、縦軸は離脱を表す。左上が動画の開始時点であり、グラフの値が一番高い。時間が経つにつれ、視聴者が離脱していく様子が見て取れる。またグラフにカーソルを合わせると動画中のシーンを特定することができ、パフォーマンスの良し悪しを数値で確認することが可能だ。
加えて、集中力を維持し顧客体験を向上させるツールとして、視聴者との間で双方向のコミュニケーションを実現するインタラクティビティツールも充実。動画をチャプターごとにわけて目次を設定したり、商品カートへのリンクを設置したりできる他、途中でクイズを表示し理解度を測ることもできる。
次に柏原氏は、3つのエンゲージメントパターンを解説した。図の1番上のグラフは奇麗な直線に見えるが、所々に凹みがある。これはおそらく、スキップもしくは早送りされている部分だ。したがって、視聴者があまり興味を持たなかったシーンだと推測され、チャプターを入れるなどの対応で改善する可能性がある。「全体としては良く視聴されているので、リードフォームやアンケートフォームなどを入れても、良い回答率が見込めます」と柏原氏。
2番目のグラフは、途中でガクンと離脱する瞬間が見える。この場合は、視聴者が見たいものと企業が提供したいものがずれている可能性があるため、確認が必要だ。
3番目のグラフは、前半がまったく視聴されずスキップされている。一方、後半はしっかり視聴されており、最後には少し上向きになる部分が見られる。この場合、前半部分のニーズ調整が必要だ。同時に、上向きに回復しているところに商品リンクを設置すると、CVが見込める。
リッチな動画体験には視聴データの活用が必須
最後に柏原氏は、企業が動画を活用する上でのポイントをまとめた。
「まず何よりも、動画の利用目的をはっきりさせることが大切です。その上で、視聴データをしっかり収集・活用できる仕組みを作りしょう。視聴データはコンテンツの施策や改善に役立ちます。より良い顧客体験を提供することがお客様のロイヤリティの向上や企業のブランド価値の向上につながり、最終的には売り上げにつながります」(柏原氏)
また柏原氏は、よくある質問としてYouTubeとの違いにも触れた。YouTubeは多くの人々との接触回数を増やせるため、製品の認知を広げる際に非常に便利なツールだ。いくら発信しても無料で使えることも大きなポイントとなる。
その一方、リード獲得後にリッチな情報提供をしたい場合や、顧客ごとに細やかなフォローをしたい場合には、データの利活用の面がネックになるという。よって視聴データの効果的な利活用を行うのであれば、YouTubeなど無料のプラットフォームよりも、有償プラットフォームのほうが有効だといえるだろう。
加えて、一方的な情報発信だけでなくインタラクティビティを持たせたい場合には、有償ツールの使用が必須となる。「リードを温める段階の手段に迷っている方はご相談ください」と柏原氏は述べ、同セッションを締めくくった。