社会変化に合わせて、リブランディングを実施
同ブランド誕生から20年を迎えた2019年に行ったのが、ゼクシオのリブランディングだ。背景は社会変化に合わせたものだという。
「誕生当時と比べ、マスや大衆ではなく、パーソナライズに注目が集まったほか、スマートフォンやSNSの普及によって、情報のシェアが盛んになりました。いわゆる『価値観の多様化』がめざましいスピードで進行しました」(平野氏)
ゴルフの世界では、接待ゴルフや社内コンペなど、ビジネス上のつながりによるゴルフ場の利用が縮小。一方で、仲間と気軽にラウンドするプライベートの利用が拡大していった。
「最近では1人予約の広がりも見られます。価値観の多様化にともない、それぞれのスタイルで楽しむゴルフへという大きな変化です。このような時代の変化やニーズに応えるべく、ゼクシオは、リブランディングを敢行することにしたのです」(平野氏)
リブランディングのポイントとして、平野氏は以下の2点を挙げた。
1.ラインナップの拡充——「飛び・打ちやすさ・所有する喜び」といった、ゼクシオがこれまで提供してきた価値を、より多くのゴルファーにその価値を実感していただけるよう商品ラインナップを拡充する
2.体験価値の重視——従来の提供価値に加え、個人の多様化するゴルフの楽しみ方を新たに「体験価値」と位置付け、これを提案サポートするブランドに変える
価値観に裏打ちされたニーズから、新たなラインナップを追加
ゼクシオは元々、ゴルファーを考えるにあたり、「ゴルフと向き合う姿勢や志向」を軸にセグメントしている。スコアの更新に打ち込む「シリアス派」には“向上心と挑戦のスリクソン”を、ゴルフを楽しむことを重視する「エンジョイ派」には“安心と信頼のゼクシオ”を提供してきた。

2019年のゼクシオのリブランディングにあたっては、価値観やゴルフの楽しみ方の違いにより「エンジョイ派をさらに2つの層に分けた」と平野氏は話した。
「60歳代以上のベテランゴルファーを中心に、『ゴルフのプレーそのものを楽しみ、ゴルフを長く続けたい』と考えるゴルファー層。そして40歳から50歳代を中心とした『自分のこだわりを重視し、ゴルフのプレーだけではなく、プレー周辺も含めた1日を楽しみたい』と考える人が多いゴルファー層の2つに分けました」(平野氏)

この2つのエンジョイ派は、ゴルフクラブの機能に対するニーズも異なってくるという。具体的に前者の場合、近頃体力に自信がなく、ヘッドも走りにくくなってきたという悩みから『体力をカバーして振りやすいクラブが良い』というニーズがある。後者は、体力があるのでクラブを振り切りたい、でもスイングが安定しないのでミスが出やすいことから『ミスを気にせず思い切り振り切れるクラブ』求める声が多い。
そのためゼクシオはリブランディングの際に、ニーズに合わせた2つのラインナップを用意した。それが「ゼクシオ イレブン」と、「ゼクシオ エックス」だ。

前者はこれまでのゼクシオ愛用するゴルファー中心に、さらなる革新的な進化と性能アップをもたらすもの。後者はデザイン面でも新しさを際立たせ、これまでにないシリーズであることを強調した。