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『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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【特集】本格AI時代到来 広告・マーケティング業界の行方

独自のデータを持っていることが生成AI活用の差別化になる

 生成AIの登場で、多くの企業がテキストや画像などの生成に活用を進めているが、データ活用はどのように変わっていくのか。本記事では、データ活用のスペシャリストであるインティメート・マージャーの簗島亮次氏に、生成AI×データ活用が今後どうなっていくか語ってもらった。

※本記事は、2023年10月刊行の『MarkeZine』(雑誌)94号に掲載したものです

従来AIでは目的なき活用が課題に

──簗島さんの目線から、生成AIが出てくるまでの企業のデータ活用とAIの関わり方はどのように見えていますか。

 これまではデータやAIを活用すること自体が目的となってしまっていました。「データやAIの重要性が上がっているから、とりあえず活用してみよう」と、なんとなくデータを蓄積できる箱を用意する、AIを何かしらの業務に取り入れてみるなど、なぜデータやAIを活用するのか定義できていないまま活用する企業が多く存在しました。

 この背景には、従来AI(生成AIが出てくる前のディープラーニングなど)の要件定義の難しさがあります。従来AIは、過去に得られたデータをもとに未来に起こることを予測することを得意としています。たとえば、過去の購買履歴から明日買ってもらえそうなものを予測することが可能です。しかし、なんとなくデータを集めても自分たちが必要な未来の予測はできません。また、AIモデルを作っても一つの答えしか出せません。

 料理で言えば、一通り食材は買ったが、何を作るか決まっておらず、食材を腐らせてしまったり、料理が完成しなかったりというのがこれまでのデータ活用、AI活用の現状でした。

株式会社インティメート・マージャー 代表取締役 社長 簗島亮次(やなしま・りょうじ)氏 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科を2010年首席で卒業。2013年、Googleのレイ・カーツワイル氏が2020年に起きると予測した「あらゆるデータが一つに統合される」という革命を冠したインティメート・マージャーを創業し、2019年10月東証マザーズへ上場。2020年にはデータ活用領域のさらなる拡大を目指し、Fin Tech事業会社クレジットスコアや、Privacy Tech事業会社Priv Techを設立。データサイエンティストというアカデミックな視点と経営者としてのビジネスの視点から、日本最大級を誇る約4.7億のオーディエンスデータを用いて様々な業界の課題解決を支援している。
株式会社インティメート・マージャー 代表取締役 社長 簗島亮次(やなしま・りょうじ)氏
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科を2010年首席で卒業。2013年、Googleのレイ・カーツワイル氏が2020年に起きると予測した「あらゆるデータが一つに統合される」という革命を冠したインティメート・マージャーを創業し、2019年10月東証マザーズへ上場。2020年にはデータ活用領域のさらなる拡大を目指し、Fin Tech事業会社クレジットスコアや、Privacy Tech事業会社Priv Techを設立。データサイエンティストというアカデミックな視点と経営者としてのビジネスの視点から、日本最大級を誇る約4.7億のオーディエンスデータを用いて様々な業界の課題解決を支援している。

生成AIの登場で高まる、独自のデータの重要性

──では、生成AIの登場によってデータ活用はどのように変化するのでしょうか。

 生成AIの登場によって、これまでの「なんとなくデータを集めて、AIを使ってみよう」というのができるようになってしまいました。生成AIは過去の傾向から新しい内容を生み出すことができ、一つのモデルで様々な答えが出せます。

 たとえば、テキストを入力して画像や風景、プログラム、記事、議事録などあらゆるものが一つのモデルから生み出せます。

 そして、現在は生成AIとデータ活用が別物として扱われることが多いのですが、いずれ密接に関わってくると私は考えています。

従来AIと生成AIの違い
従来AIと生成AIの違い(タップで画像拡大)

──それはなぜでしょうか。

 現状、多くの企業では生成AIの検証を進めている段階で、どの業務なら生成AIと代替できるか、生成AIの活用に合わせた組織の整備はどうするか、といったどの企業でも起こり得る部分の取り組みが進んでいます。

 しかし、それが一段落すると、生成AIを活用するだけで差別化するのが難しくなり、自社が持つ独自のデータを掛け合わせた活用が進んでくるのです。独自のデータとしては、コマースメディアで蓄積したデータやPOSデータ、自社会員のデータなどが挙げられます。

 これらの他社が持たない一次情報を生成AIに取り込ませることで、他社では出せないアウトプットを生み出していく流れが、今後訪れると考えています。

──現状は生成AIをとりあえず使いこなせるようになるフェーズだが、いずれ自社が持つデータが重要になるということですね。

 生成AIの活用が進んでくると、自社が持つデータの中でも価値の強弱を付けてアウトプットを出せるようになり、企業の商品やサービスのクオリティ向上につながってくると思います。そのため、今は別物として語られる生成AIとデータ活用ですが、今後組み合わせて活用することが求められるでしょう。

生成AI活用の現状と未来
生成AI活用の現状と未来(タップで画像拡大)

 今僕らがPCを当たり前に使って仕事をするのと同様に、今後生成AIを使って仕事をするのが当たり前になってきます。そうなると、生成AIをうまく使える・使えないという差は出てきますが、生成AIを使っていること自体には価値がなくなっていくはずです。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/23 13:30 https://markezine.jp/article/detail/43830

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