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MarkeZine Day 2025 Retail

再発掘される「店舗」の価値 次世代ビジネスモデルを追う

スマドリバー設計の秘訣は”徹底的なN1分析” CMOとブランド責任者が語るインサイトの活かし方

初歩的なニーズを満たすことでその奥にあるインサイトの扉を開いた

大里:細部までこだわり抜いて、店舗づくりをされているんですね。先ほどお話しいただいた店舗におけるデータ活用によって、新たに得た視点はありますか?

加藤:来客者のうち飲めない人が3割、飲める人が7割の比率で、飲める人と飲めない人が一緒に来店しているんですが、「飲める人が、飲めない人と同じドリンクで乾杯したいために誘った」というこちらの予想していた利用シーンと違う理由で来客しているグループが非常に多く見られました。

大里:新店舗「THE 5th by SUMADORI-BAR」では定性データを収集する予定とのことですが、新店舗の開店に至った経緯や狙いを教えてください。

加藤:スマドリバーは、外観は透明のガラス張りにして、内観はカフェバー風にしました。そうすることで、多くの「飲まない/飲めない」Z世代、ミレニアル世代の方が店に入る際の敷居を下げる設計にしました。

スマドリバー1Fの様子

加藤:その中で、お客様からのヒアリングを何度も行ったのですが、「本格的なバーの雰囲気」を経験してみたいといったニーズが新たに見えてくるようになりました。スマドリバーでカクテルに親しむようになったことで、本格的なバーのようにバーテンダーや隣り合わせになったお客様とのコミュニケーションを体験したいという想いが芽生えていたんです。

 それを受けて2023年9月末に「THE 5th by SUMADORI-BAR」をオープンしました。店名には“5階”にあり“5感”で楽しめる場所であること、カフェのような3rdプレイスに次ぐ、新しい居心地の良い場所としての“5thプレイス”という意味が込められています。

THE 5th by SUMADORI-BARの様子

加藤:本格的なバーへのニーズは、N1分析を行ったからこそ見えてきた結果でした。最初に見えてきたのは「お酒を飲めない/飲まない人もバーに行ってみたい・一緒に楽しみたい」というニーズでしたが、それを満たすことでさらに奥にあった「本格バー体験への憧れ」というインサイトの扉を開けたと考えています。

 もし最初からノンアル・低アルコールドリンクの本格派バーである店舗を開いても飲めない人からは怖がられてしまい、入ってもらえなかったでしょう。カフェバー風のスマドリバーという、“最初の入り口”があってこそ発見できた新たなステージだと思います。

ノンアル飲料を“お酒の代替品”から“大人の嗜好品”へ

大里:「THE 5th by SUMADORI-BAR」を新しく始めたスマドリバーですが、今後の展開についてお聞かせください。

加藤:「THE 5th by SUMADORI-BAR」は、ニューオーセンティックバーとして定義しており、ピーコックブルーを基調とした落ち着いた雰囲気の本格的なバーになっています。本格的なバー体験をコンセプトにしているので、カクテルコンペで受賞歴がある一流のバーテンダーに声をかけました。さらに、5階ではあえてモバイルオーダーを使わずにバーテンダーと話して注文ができるような設計にしました。これもバーを体験したいというインサイトを反映したものです。

 今後もアルコールの有無に関係なく選びたくなるメニューを増やしていき、ノンアルコールドリンクが単なる「アルコールドリンクの代替品」ではなく「積極的に選ばれる大人の嗜好品」として認識してもらえるようにしたいです。そして、お酒を飲む人も飲まない人も皆が楽しめる新たなライフスタイルを作りたいと考えています。

元田:「THE 5th by SUMADORI-BAR」は会員制なので、より密にお客様とコミュニケーションを図り、新たなメニュー開発や店舗設計に反映していきたいです。最終的には、アサヒビールグループでの「大人の嗜好品」の量産化にもチャレンジしたいですね。

 渋谷は新しいカルチャーを生み出していくのに最適な場所です。トレンドの最先端の場である渋谷の地から、スマドリという新たなトレンドを発信していきたいと考えています。

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この記事の著者

大里 紀雄(オオサト ノリオ)

Micoworks株式会社 ビジネスマーケティング部 Director 

大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。マルケトではシニアビジネスコンサルタントとして業種業界を問わず、大手企業から中小企業まで、MAツールの導入や戦略構築支援を行う...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/06 09:00 https://markezine.jp/article/detail/43868

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