目標と成果指標に少しずつ「商談」が影響するように
ここからは、各社が設定しているリードの定義を深掘りする。LayerXでは、各フェーズのリードを次のように定義しているそうだ。

「プロダクトがローンチした2021年当時は、まだ新規リードしか追えておらず、そもそもフェーズごとの質まで考えられていませんでした」と松岡氏。リードの数が増え、大まかな傾向が見えてきたのは2022年上半期のことだ。ちょうど同じタイミングで展示会などのオフライン施策が復活し、大量のリードが得られたものの「想定とは違うリードも多く流入してきたため、その処理に困ることもありました」と振り返る。
2022年下半期より、マーケティングのOKR(目標と成果指標)に「商談」が少しずつ影響するようになったそうだ。その頃にインサイドセールスチームとの連携が一気に強化され、同時にMQLも定義された。リードの質を議論できるようになったのはこの頃だったという。
「2023年、五つのプロダクトごとにKPIを設定するようになったことで、より細かい運用が求められるようになりました。そこで『FORCAS(フォーカス)』を導入し、従業員規模や業界といった客観的属性も踏まえて、リードごとにTierをつけるようにしています。毎月毎月新しいKPIを追ってきたような実感がありますね」(松岡氏)
見込み顧客の企業規模別にチームを編成するワケ
山崎氏曰く、LegalOn TechnologiesでもLayerXと似たリード定義の変遷を辿ってきたようだ。

「私が入社した2021年当時は、獲得する新規リードの数しか考えられていませんでした。しかしそれではインサイドセールスの架電対象のリードと齟齬が生じるため、Tier別で細かく区切っていくことになったのです。なお、当社では『uSonar(ユーソナー)』を使用して、企業の所在地や従業員規模などによってTierを定量的に区切っています」(山崎氏)
LegalOn Technologiesでは、組織/個人のペルソナ詳細とその判定条件、uSonarで調べたリスト数を基にTierを細かく設定している。さらに、このTierは組織体制にも反映されているという。どういうことかと言うと、見込み顧客の企業規模別に専門チームを組織し、対応にあたっているのだ。

Tierや社内組織を細かく区切るメリットについて、山崎氏は「対象企業の解像度向上」を挙げる。
「当社はリーガルテックのサービスを提供しているため、企業法務のご担当者様が対象となります。ただ、一口に『企業法務』と言っても、事業規模や事業内容によって業務の内容やサービス導入の目的が変わってくるのです。そのため、企業の規模別に体制を整え、マーケティングチームでは企業規模に応じたセミナーやコンテンツを揃えています」(山崎氏)