なーむくんのあれこれ
なーむくんのモチーフは聖徳太子
聖徳太子は、一説には架空の人物ともされるが、一般には古代大和朝廷の中央集権化を進めた政治改革の旗手であるとともに、仏教を篤く信仰し、仏教の普及に努めた最初期の功労者として広く知られている。橋本住職は「日本の仏教の根本は聖徳太子である」といい、仏教が政治の中心にあった奈良時代にも聖徳太子は尊ばれ、いわゆる太子信仰が奈良時代生まれたことからも、平城遷都1300年のイベントで聖徳太子をキャラクターとすることに「違和感は無い」とする。
なーむくんは南無仏太子像
太子信仰のなかで、聖徳太子はさまざまな伝説に彩られることになった。なかでも有名な伝説に、2歳で東に向って合掌し「南無仏(なむぶつ)」と唱えると手のひらから仏舎利がこぼれ落ちた、というものがある。この姿は「南無仏太子像」として仏教美術の重要なモチーフのひとつとなっている。
なーむくんも、当初のデザイン案では1万円札にもなった有名な聖徳太子像のように杓を持っていたが、二六会側からの依頼によって現在の合掌する姿になおされた。これはもちろん南無仏太子像を意識してのことである。“なーむ”くんというネーミングも「南無仏」にちなむと考えればわかりやすい。
五色のなーむくん
南都二六会から送っていただいたデザイン画を見て驚いたのは、なーむくんには五色のカラーバリエーションがあることである。1300年祭のキャラクターが増えるたびに特撮のヒーロー戦隊などにたとえるネットの反応が見受けられたが、なーむくんだけで十分じゃないかという気もしてきたぞ。
南都二六会では2010年の「なら1300年祭」[*2]で開催を予定している「広く社会に根ざした仏教のあり方を探る行事」のみならず、毎年の定例行事や、2009年の同会設立30周年行事など機会あるごとに「なーむくん」に登場ねがうとしている。橋本住職は、「聖徳太子は日本に仏教を広めた最初の人物」であり、その聖徳大使をモチーフとしているだけに、なーむくんは「1300年祭のためだけのキャラクターとは捉えていない。仏教界全体のキャラクターとしたい」と今後の抱負を語っている。なーむくんの今後の活躍に期待したい。
[*2] なら1300年祭:1300年祭は(平城京のあった)奈良市だけにとどまらず奈良県全体の行事であるという視点から提唱されている、「平城遷都1300祭」に代わる名称。
