「知らなかった」を避ける情報のキャッチアップ
──CARTA MARKETING FIRMで気を付けていることや工夫されていることがあれば教えてください。
インフルエンサーマーケティングの支援ではいくつかメニューを用意しており、各メニューでこれまでの知見をもとに制作したマニュアルのようなものがあります。このマニュアルではチェック項目が細かく設定されていて、インフルエンサーに対するオリエンテーションからクリエイティブチェック、投稿するとき、投稿した後と各ステップで多角的にチェックする体制を整えています。
今回の法規制の大きなポイントは、実際に罰則を受けるのは広告主だということです。広告主もインフルエンサーも両者が正しく理解をしていないと損をすることになるため、インフルエンサーとのコミュニケーションにおいては、共通言語を持つことが重要です。
──法改正をはじめ、変更やアップデートの情報にどのようにキャッチアップしていますか?
Googleアラートを設定して関連情報をチェックするなど、個人でできることは多々ありますが、やはり限界を感じている方も多いようです。私は、2009年にKAIKETSUという会社を立ち上げ、2022年にCARTAHOLDINGSの完全子会社として電通およびCARTAグループにジョインしましたが、大きな組織が持つ情報量はやはり圧倒的だなと実感しました。情報のキャッチアップについては、組織のメリットを受けているところも大きいと思います。
加えて、SNSマーケティングを展開されている他の代理店や芸能事務所などで組成したコンソーシアムのようなコミュニティで定期的に情報交換をするようにしています。このコミュニティで話を聞いていると、「法改正があったことは知っているが、どう実務に落とし込んでいけばよいかわからない」といった課題を感じている方が多いようです。
──最後に、インフルエンサーマーケティングにおける今後の展望や見通しをお聞かせください。
我々はマーケティングファームとして「クライアントの事業を進化させる」というミッションのもと、これからもクライアント様の事業拡大を支援していきます。その中で、訴求を高めれば高めるほど、ステマの対象になるリスクが高くなるというようなことも出てくるかもしれません。ですが、だからといって訴求を弱めるなどの対策を取るだけでは、事業拡大にはつながらないでしょう。
どのような表現なら訴求を弱めることなく、事業の拡大につなげられるのか。どのような表現なら倫理に反するとされるリスクが高まるのか。法令順守と倫理観に照らし合わせながら、事業拡大につながる支援をしていきます。
