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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

BtoB企業における「イベントマーケティング」の新常識、データ活用で勝つイベント攻略法

BtoBイベントを成功に導く設計に必要な5つのステップとは?

3.ターゲットに合わせたセッションの構成

 2つ目のステップでターゲットの属性・比率がある程度決まったら、それに合わせてセッションを設計していきます。

 セッション数の決め方は、オフラインかオンラインかで大きく異なります。オフラインであれば、予算・会場の収容人数・部屋数や使用可能な時間によってセッション数は自ずと決まってきますが、オンラインは比較的自由にセッション数もトラック数も構成することができます。実際、オンラインイベントの場合、数日開催というのも珍しくありません。

 かといって際限なくセッションを乱立すればいいというわけではありません。たとえば、2つ目のステップで設定した目標の集客総数が5,000名だったとしましょう。そのうち、製造業属性のターゲットが約20%としていた場合、製造業属性の集客目標は1,000名となります。1セッションあたりの聴講人数を200名とするなら、単純計算で製造業属性の人々に響くセッションを5つ企画すべきということになります。

 その5つのセッションをターゲットの各検討フェーズにマッチした内容で企画していく。潜在層であれば業界の著名人・有識者講演、顕在層であれば実践的な事例講演、比較・検討層であれば製品紹介、などといった形で細分化していくと良いでしょう。このようなステップを、各ターゲット属性に対し行っていきます。

 このプロセスによって、ターゲット属性ごとに必要なセッション数が算出できますので、あとはそれをイベント全体の中で振り分けていきます。

 結果として必要なセッション数が多くなった場合は、トラックや開催日によってテーマを分けると参加者に対する訴求もしやすくなるのでおすすめです。

 当社の「updata」の場合は、下記のように日程ごとにテーマを設け、カテゴリーを振り分けていきました。

 セッション内容を企画する際に気をつけたいのが、イベント全体の集客数だけを意識して企画しないこと。集客数だけであれば、誰もが知る有名人を招くのが手っ取り早いでしょう。しかし、その有名人の活動分野や講演内容が、イベント全体のテーマやターゲット属性の興味・関心分野と乖離している場合、結果として参加者の満足度が低くなります。また、ターゲット属性とは異なる参加者が集まってしまい、自社のビジネス成果につながりません。

 コロナ禍以降、ウェビナーやオンラインイベントは増加しており、ユーザーにとっては情報過多な時代だともいえます。だからこそ、対象者が真に欲している情報は何か、イベントの目的は何かをしっかりと考え抜いたセッションを企画する必要があります。

4.集客チャネルのリストアップとチャネル別目標数の設定

 集客数、ターゲット、セッション内容が決まったら、次に集客チャネルの洗い出しを行います(下図参照)。

 「社内集客」は、自社の顧客やパートナー企業に営業などからの個別案内、「メルマガ」は自社のマーケティングリードデータベース(ハウスリスト)へのメール送付、「自社Web」や「自社サービスログイン画面」は自社のサイト内へのバナー掲出による集客、これらは自社のリソースを活用するため、低コストでの集客が見込めます。

 「協賛社・登壇者」はスポンサー企業やセッション登壇者から、それぞれの顧客や関係先、コミュニティなどへの告知してもらうことです。自社にはないつながりの新規流入が見込める重要なチャネルの1つです。

 「リファラル」とは、自社のハウスリストに登録されている人からの紹介です。たとえば、管理職の立場の人がイベントの案内のメルマガを見て部下に参加を促す、といったケースです。リファラルで申し込みをした人は来場率が高い傾向にあります。

 「外部メディア」は、外部媒体を使用した集客です。各媒体の読者に対して広く集客できるため、新規リードの獲得を増やしたい場合や自社のハウスリストが少ない場合は必然的に集客の中心を外部メディアに頼ることになります。

 外部メディアを活用する場合は、各メディアの読者属性とイベントのターゲット属性がマッチするかを考慮し選定します。自社と親和性の高いメディアが第一候補になりますが、幅広く数を稼ぎたいという場合は専門媒体ではなく、メジャーなメディアの活用を視野に入れてもいいかもしれません。ただし、ターゲットの含有率が下がる可能性があります。

 外部メディアの場合、申し込み件数によって費用が変わる成果報酬型やメール配信数によって費用が決まるなど、様々な課金体系があります。前者の場合はある程度件数の保証ができますが獲得単価は大きく下げられません。後者は件数の保証がありませんが、上手くいった場合、大きく獲得単価を下げることができます。

 「オンライン広告」は、検索広告やディスプレイ広告、SNS広告による集客です。外部メディアと同じく新規リードの獲得に効果があります。外部メディアよりも獲得単価を低く抑えられますが、ターゲットの含有率も低くなります。オンライン広告の大きなメリットは効果を見ながら予算配分を柔軟に変えられる点です。手間はかかりますが、効果を見ながら広告バナーや広告文を調整することで大きな効果を得られる集客手段といえます。

 複数のメディアやオンライン広告といった外部媒体を使用した集客を自分たちでコントロールするリソースがない場合は、広告代理店を上手く活用するという方法もあります。複数メディアとのやり取りの窓口が一本化されるため、自社からの細かい調整が不要になること、最初に設定したメディアで想定した効果が上げられない場合にも、別メディアへの路線変更が容易になることがメリットです。

 また、広告代理店にまとめて発注することで価格調整ができる場合もあるので、自ら交渉したり情報を探しにいったりする手間が省けます。その他、外部集客メディア選定のポイントを下記にまとめましたので、参考にしてみてください。

次のページ
5.チャネル別の集客スケジュール設計

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この記事の著者

松久 育紀(マツヒサ ナルキ)

 外資系ITベンダーでプロダクトマーケティングとして複数製品の国内ローンチやプロモーションを担当後、2016年にウイングアーク1stに入社。リードジェネレーション全般の責任者としてオンライン/オフライン双方のプロモーション活動を統括、2023年よりブランディング全般の責任者としてイベント・広告を通じた認知・啓蒙活動...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/30 09:00 https://markezine.jp/article/detail/44164

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