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第106号(2024年10月号)
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オーバーレイやポップアップ表示、その注意点と有効性を考察

ポップアップによってもたらされる効果とは

 ここまでオーバーレイやポップアップを「悪」のように扱ってきましたが、ポップアップを正しく最適化することで、ユーザーの課題解決やほかへの導線としての役割を担うなど「ウェブ接客ツール」として活用することができます。コロナ禍以降、より加速したオンラインショッピングや授業、フードデリバリーなどが浸透し、オンライン需要の高まりを体感している人も多いでしょう。時間や場所、規模に関わらず購入できるオンラインの環境が整っている今、ポップアップはCTAとしての役割を果たしたり、コンバージョン率向上や最適化に貢献したりと、顧客が抱える課題解決に活用することができます。

ポップアップ活用例1.CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上

 ポップアップによって、顧客が商品に関するサービスを通して得られる心理的価値を向上させることが可能です。良質なCX体験は商品やサービスに対する愛着を生み、長期的な収益獲得へとつながります。最近だと、実店舗を持たないアパレルECやオンライン接客なども増えており、商品やサービスの特徴を紹介したり、期間限定または新商品の提案、サイト内誘導で顧客の抱える疑問を解決したりしていきます。顧客目線でポップアップを活用できれば、顧客の要望にコネクトし、かつ適切なサポートが実現できます。

ポップアップ活用例2.マーケティング自動化・インサイドセールスの強化

 適切なポップアップツールを活用すれば、マーケティング活動の自動化や効率化を叶えることができ、ユーザーへの告知やアプローチからの顧客獲得、コンバージョンへのサポートなどを行うことが可能です。またメールやチャットなどを介することで営業コストを削減し、効率よく顧客へアプローチできます。

 たとえば、新商品の販売や割引キャンペーン、ポイント付与、送料無料の告知を訴求する際、ポップアップ上にメールアドレスやユーザー情報の入力フォームを設置すれば、先にエントリーするユーザーを獲得し、定期的に戦略的なメールでアプローチすることも可能になるでしょう。それ例外にも資料のダウンロードなど、アイディア次第でさまざまな活用法が考えられるはずです。

ポップアップ活用がもたらす効果

  • キャンペーンやカウントダウンなどを利用した販売促進
  • Web接客を通したコンバージョン率の向上
  • メールリスト構築と顧客の育成
  • ABテストによるコンバージョン率最適化
  • 二次元コードを利用したSNSやサイトの登録促進
  • サイト内の導線や誘導
  • 資料など書類のダウンロード促進
  • プライバシーポリシーやクッキーの確認と信頼性

 ポップアップは強制的に画面に表示できるパワフルなツールですが、その力を誤用すると、ユーザーを不快にさせてしまいます。ポップアップには賛否両論ありますが、ユーザーに最適化し必要なサポートが行えるタイミングで表示することにより、ストレスを最小限にすることができるでしょう。逆に言えば、最適なタイミングでニーズを満たすことができれば、課題解決でき、ユーザーが求めるコンバージョンへとつなげることも可能です。

まとめ

 オーバーレイやポップアップに関して否定的な意見が存在し続けているにもかかわらず、この問題が解決していないことはとてももどかしいことです。ユーザーに表示されるポップアップのなかには、デザイナー側がコントロールできないものもあります。ユーザーがブラウザのプラグインをインストールすることを防げないですし、サイトの訪問者にプライバシーポリシーやCookie「個人関連情報」の確認が義務化されている場合もあります。

参考:著者によるMATCHESFASHIONの画面キャプチャ
参考:著者によるMATCHESFASHIONの画面キャプチャ

 まずポップアップ過多を防ぐためには、サイトに表示されるポップアップを把握したり、サイト内でポップアップ同士が喧嘩したり乱立していないかを確認しましょう。さらにユーザビリティテストを行うとより明確に問題点がわかります。ポップアップツールを導入している場合はとくに注意が必要なこともポイントです。

 ポップアップがユーザーにとって良いものであれば受け入れられるのではないか、と思うかもしれませんが、普段から多くのサイトで乱立するポップアップに遭遇しているユーザーは、好ましくないと感じる可能性が高いでしょう。これほどデジタルが普及した時代においては、商品やサービスの価値を判断するうえで「UX」は非常に重要な要素。ユーザーがポップアップに遭遇するたびに、その価値に対する評価が低下してはもったいないです。

 諸刃の剣のようなこのポップアップを効果的に活用するためには、私たちデザイナーが今後も最適なデザインを目指し、継続的なUXリサーチとその結果の分析、そして改善をすることが重要です。

 この記事がUIUXデザインを考えるひとつのヒントとなれば幸いです。それではまた次回の記事でお会いしましょう。

 以上、新谷でした。ありがとうございました!!

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/26 08:15 https://markezine.jp/article/detail/44480

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