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生活者データバンク

購買データ×意識・症状属性で見えてくるもの ~整腸薬市場の好調要因から見える生活者の潜在的なお悩み~

購買と症状属性から購入者の購入理由を想像する

 今まで述べてきた整腸薬の事例のように、とある市場の増減に影響を及ぼしていそうな購入者に「なぜorどうして○○したのか」の視点でアンケート調査などをするケースも多いかと思います。

 一方で現在では、個別の調査をせずとも購買データと様々な属性を掛け合わせることで、簡易的に“購入の背景”について想像が可能です。ここからは、購入者に対してすでに付与されている“症状属性”を用いて「整腸薬の購入理由」をイメージしていきたいと思います。

 まず整腸薬購入者が、整腸薬で対処しうる症状があるかどうかという視点です。整腸薬で訴求される症状としては便秘や軟便が一般的です。購入者視点で整腸薬市場の好調要因となっている「整腸薬を新規で購入しリピートしている人」の症状該当率(※5)を見ると、男女計で約21%が便秘気味と回答しており、整腸薬購入者平均の19%を上回る結果となりました。

 では「下痢気味である」といった症状ではどうでしょうか。便秘同様に、「整腸薬を新規で購入しリピートしている人」の症状該当率は7%で、整腸薬購入者平均の8%とほぼ変わらない結果でした。今回整腸薬を購入した理由として、下痢気味よりも便秘症状の対処や対策のためではないかと考えられます。

※5:2023年3月7日~4月17日に実施した弊社購買モニターへの自主企画調査結果をもとに便秘症状経験あり/下痢気味症状経験ありを算出

<調査概要>

 調査対象:SCIモニター/調査方法:インターネットリサーチ/調査期間:2023年3月7日~4月17日/有効回収数:n=42264(15-79歳)

整腸薬を新規購入&リピートする背景とは?

 続いて、他のカテゴリーからのスイッチ可能性について確認してみたいと思います。

 冒頭で記載しました通り、機能性表示食品やサプリメントなど整腸薬以外のカテゴリーでも“整腸”を訴求している製品は多く存在しています。そのような関連カテゴリーの購買量の変化を図表5で見てみましょう。

図表5:整腸に関連したカテゴリーの購買量の変化

 購買量の変化を見ると、整腸薬の購入の前後で整腸系機能の食品・飲料の購入個数が減少していることがわかります(同期間の整腸薬購入者平均値と比べても「整腸薬を新規で購入しリピートしている人」の購買量が減少している)。厳密にカテゴリー間のスイッチであると言い切れない部分はありますが、お悩み症状である便秘の改善のためより効果のありそうな整腸薬に移行していることも考えられるのではないでしょうか。また、整腸機能のある食品や飲料は手軽に美味しく対策ができるとはいえ、毎日同じ味では飽きが来てしまう点や、自宅の置き場に困るといったデメリットもあるかと思います。

 その点整腸薬は1回あたり数粒の飲用で済み置き場も食品や飲料に比べかさばらないこと、食べたい食品や飲料を飲食することができること、医薬品という効果感などに魅力を感じるのではないでしょうか。

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購買と症状属性からライフスタイルが見てくる

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この記事の著者

齋藤 聡(サイトウ アキラ)

株式会社インテージヘルスケア ヘルスケアソリューション部 コンシューマーソリューショングループ

 入社時から、パネルデータの集計分析部門に配属しOTC医薬品領域を担当。現在はOTCメーカー様を中心にパネルデータ分析支援と新規事業企画を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/24 14:39 https://markezine.jp/article/detail/44505

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