お客さまのインサイトを反映し、一貫したメッセージを届ける
――テレビCMの活用においてクリエイティブはとても重要だと思いますが、クリエイティブを考える上で大切にしていることはありますか。
アサヒビールでは、お客さまを真ん中に置いた、お客さま主役の統合型マーケティングを実践しています。その上でテレビCMなどのクリエイティブを考える上で大切にしていることは、以下の2点です。
1.お客さまを中心に置いたインサイト把握の徹底
スマドリのクリエイティブを開発する際、常にお客さまを中心に置いて、『お酒を飲める人』『お酒を飲めない人』が何を考え、何を求めているのか、どういったメディアに触れているのかを調査し把握。そして、それを踏まえて、すべてのクリエイティブ、メディアプランに反映することを徹底してきました。結果として、ただの企業のCMに留まらない、予想を超えるようなお客さまからの感動や共感を得ることができました。
2.一貫したメッセージの統一
アサヒビールでは、すべての活動において、統一したメッセージとそこから展開されるクリエイティブの連動感を重視しています。スマドリの『We are飲みトモ!スマドリでええねん!PROJECT!』では、「飲めても飲めなくても、みんな飲みトモ。」というメッセージを中心に、テレビ、デジタル、交通、店頭など、すべての活動を統合的に展開することで、より相乗効果を生み出すことを狙いました。
――お客さま視点のインサイトを把握してきたとのことですが、たとえばどのようなものがありましたか。
スマドリのCMに反映しているものだと、「居酒屋でソフトドリンクを頼むときにストローを指すのをやめてほしい」などといったお酒を飲めない人の声です。このようなお酒を飲めない人の声は、1人を深掘りし、インサイトを深く聞いていく形のN=1の定性インタビューの声から見えてきたものです。
実際にスマドリのCMを見て、お酒を飲めない方から「お酒の席で、存在を許された気持ちになった」「長い間、お酒が飲めなくて苦労していたけど、スマドリのCMで勇気づけられた」「アルコールメーカーがこのようなCMをやってくれたことに意味があると思った」などといったお手紙も頂戴しました。お客さまのインサイトを捉えることで、お客さまの心を動かし、きちんと反響が得られるのだと実感しました。

量・質の両面でテレビCMの効果を視覚化
――テレビCMの効果を測定する際も指標について教えてください。
テレビの効果は量と質の両面で確認しています。まず量の観点では、テレビCMの出稿状況についてターゲットリーチや含有率、曜日時間帯比率、アクチュアル(実際にテレビCMが放映されたときの視聴率)などを見ています。また、リーチに関してはテレビCMだけでなく、デジタル広告などを含めたインクリメンタルリーチを確認しています。これらの主な指標はデイリーで確認し、タイムリーに手を打つようにしています。
また、単純なリーチだけでなく、視聴の「質」についてのデータも活用し、お客さまがテレビの前にいるのか、テレビを見ているのかなども把握し、打ち手につなげています。
クリエイティブを含めたテレビCMの効果測定に関しては、ブランドエクイティに関する指標やブランド純粋想起の変化、テレビCMの好感度などを確認しています。また、クリエイティブ別や媒体別に、どの出稿が態度変容に効果的であったのかなどについても、事後調査を実施しています。