2024年はつながり消費、旅行、ギフト、デジタルが加速
──2024年のシニア層の消費行動では、どのような変化が起きると考えていますか。
つながり消費に注目しています。具体的には、旅行、ギフト、デジタルの3つの動きが加速していくと考えています。つながり消費に関しては、孫と推し活の話もありましたが、コロナ禍を経て人とのつながりの大切さに気付き、自分の周りにいる人たちとの時間を大事にする動きが強まっています。
1つ目の旅行に関しては、海外旅行含めて需要が増えていくと考えています。また、これまではパッケージツアーなどある程度行程が決まっているものが選ばれがちでしたが、デジタルを駆使して個人で行きたい場所を調べてテーマに沿った旅行をする人が増えていくと思っています。
2つ目のギフトに関しては、元々シニア層は女性を中心におもたせやお土産をあげる文化があります。あげるものもデパートのお中元などではなく、より気軽なギフトや自分が食べておいしいと思ったカジュアルなものを渡す消費が増えていくと予測しています。
3つ目のデジタルは、#インスタグランマのようにSNSで能動的に社会や人とつながるシニア層が増加する動きと、ツールとして利便性を追求していく動きの2つがより顕著になると考えています。今やシニア層ではLINEを使った連絡も当たり前になっています。一方で、Eメールの活用は減っています。アプリの取捨選択が進んでいく可能性が高いです。

シニア発で下の世代に波及する商品作りを
──最後にここまでのトレンドや予測を踏まえて、マーケターがシニア層にアプローチする際のアドバイスをお願いします。
まず、シニア層と区分した商品開発やプロモーションには気を付けたほうが良いですね。あからさまに「シニア層向けです」という商品にしてしまうと、「馬鹿にされている感じがする」「私たちのことをわかっていない」などの反発を受けるケースが出てきます。
そうではなく、シニア世代にとって便利で使いやすいものを作り、それが下の世代にも波及していく流れにできると良いと思っています。シニア層は家事や旅行などあらゆることに関してベテランと言えます。そのため、自分たちが良いと思ったものは下の世代にも伝えていきたいと考えています。
そして、シニア層は未来に対して種まきを始めていると思っています。その種をいち早くキャッチアップして、企業がそれに対応した商品を開発する。このシニア層と企業の間でのキャッチボールが今後進んでいくとよりシニア層の消費が活発になっていくと考えます。