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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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【特集】2024年の消費者インサイト

共働きファミリーの消費活動は、時短のその先へ チームで動く新しい家族のかたちとは?

 ミレニアル世代が子育て世代となり、家族のかたちも多様化している昨今。ファミリー層は、消費者としてどのような嗜好を持っているのだろうか。ジェイアール東日本企画イマドキファミリー研究所の高野裕美氏に、現在、そしてこれからのファミリーの消費者インサイトについて、ヒントをうかがった。

※本記事は、2024年1月刊行の『MarkeZine』(雑誌)97号に掲載したものです

買い物は「決まった動線」で効率化

──ファミリーと言っても様々な家族のかたちがあります。御社の調査ではどのような層を対象にしていますか?

 イマドキファミリー研究所は、2014年からワーキングマザー研究として始まりました。主に共働きの子育て家族を対象としており、比較対象として専業主婦の子育て家族もウォッチしています。共働き家族に注目した理由は、今後増加していく属性であると考えたこと、また、多忙で困り事が多いため、商品・サービスへの期待が高いと考え、研究対象としました。

株式会社ジェイアール 東日本企画 コミュニケーション・プランニング局 イマドキファミリー研究所 リーダー エグゼクティブ・ストラテジック・ディレクター 高野 裕美(たかの・ひろみ) 氏調査会社やIT企業を経て、2008年に株式会社ジェイアール東日本企 画入社。エキナカ開発や商品・サービスのコンセプト開発などに従事し、 2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案、 子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。
株式会社ジェイアール東日本企画 コミュニケーション・プランニング局
イマドキファミリー研究所 リーダー エグゼクティブ・ストラテジック・ディレクター
高野 裕美(たかの・ひろみ) 氏

調査会社やIT企業を経て、2008年に株式会社ジェイアール東日本企画入社。エキナカ開発や商品・サービスのコンセプト開発などに従事し、 2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。

 2022年の労働力調査の「末子17歳以下の子供のいる、夫婦と子供からなる世帯」より算出すると、専業主婦は25%、フルタイム勤務(勤務時間が週30時間以上)が33%。2014年時点では専業主婦が最も多く約4割を占めていたことと比較すると、大きな変化です。2024年以降も、強いニーズを持ったフルタイムの共働き家族が、ファミリー消費においては中心的な存在になっていくと考えています。なお、研究対象としている子育て家族は、小学校3年生以下の子どもを持つ既婚男女で、ママが平均38歳、パパが40歳で、いわゆるミレニアル世代がメインです。

──2023年5月以降、行動制限が撤廃され人流も活発化した一方、物価上昇も続いています。この状況において、共働き家族の消費行動にはどのような傾向が見られますか?

 旅行については、世の中全体で復調傾向にあります。中でも共働き家族は、家族全員ではなく「ママと子ども」や「パパと子ども」だけで外出する「小さな単位のお出かけ」が多いことが特徴です。もう1つの共働き家族の特徴として、子どもが中学生以上になってからも一緒に旅行に行く傾向があります。中学生になると旅行料金が上がりますが、共働きで余裕がある分、旅行にかけられる予算が高くなっているのかもしれません。

 また、子どもが楽しめる旅行を第一に考えつつも「親自身も楽しみたい」という意向も見られます。共働き家族では、親が子どもを頼りにしている割合も高く、生活において子どもの自律的な動きを期待している傾向があります。旅行サービスに関しても、必ずしも家族全員が常に一緒に動くとは思い込まずに、新しい視点で考えることが求められています。

──外食などの近場での外出消費についての傾向はありますか?

 近場へのお出かけや外食は、共働き家族での実施率が専業主婦家族よりやや高く、調査データによると専業主婦家族を10ポイントほど上回っています。共働き家族は毎日自炊する割合が低く、1週間のうち平日の1~2日は夕食を自炊しないという家庭も比較的高い割合です。コロナ禍では宅配でまかなっていましたが、外出の制限も消えたことで外食が選択肢に戻ってきました。片付けの手間を考慮すると、外食は宅配に比べて効率的な側面もあります。

──物価高という金銭的なコストだけでなく、料理や片付けなどの手間も含めて考慮した結果、外食を選ぶのは共働きのファミリー層の大きなインサイトですね。日々の買い物においては、どのような意識があるでしょうか?

 共働きのママが平日の買い物にかける時間は1日あたり約20分。専業主婦が約50分かけているのに比べて30分も短いです。そのため、「決まった動線上でサッと買う」スタイルが基本です。休日にまとめ買いをする割合も約70%と高くなっています。価値観として、共働きママは商品の品質を重視し、新商品を試したい意欲が高いことも特徴です。かといって商品の価格について、つゆも気にしないわけではありません。

 毎日チラシを比較して買い回る余裕はなくても、あらかじめルーチンを決めておくことで、価格と質を考慮した買い物を目指していると推察しています。「使うのはこのスーパー」あるいは「魚はここで買い、お菓子はここで買う」といった動線を決めてあるわけです。企業はいかに、そのルーチンの中に入り込めるかが鍵となります。

 また、ECの利用は共働き家族に限らず増えています。ECでは水やお米、洗剤といった定期的に購入する商品はもちろん、子どものおもちゃや文具ECで買うことが多いようです。さらに、ファッションもECの割合が高くなっています。特に共働きママは朝の通勤時間に自分の洋服を購入している傾向があります。仕事帰りに比べて出社時は「自分モード」で電車に乗っているのではないでしょうか。

──ポイントやセールに対する意識はどうなっているでしょうか?

 ネットで気になった商品をブックマークしておく傾向があるので、時間があるときに購入したり、セールなどでお得な時期にまとめて購入したりしているかもしれません。また、共働きママの決済手段を調査したところ、クレジットカードの利用率が62.9%であるのに対して、スマートフォンのQRコード決済も59.5%と、同程度に浸透していることがわかりました。素早く支払えるだけでなく、ポイントが貯まることも重視されています。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/01/30 09:30 https://markezine.jp/article/detail/44588

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